１９ ページ19
「おはよー。
おー、誰かと思ったら乾か。」
昼ごはんを食べていると、ふくらさんがオフィスに来た。
「すいません、すぐ、退きます。」
「いいよ、いいよ。
あっちで河村と話あるから。」
そういうと、パソコンだけを鞄から取り出し
向こうの方へ行ってしまった。
横から聞こえるふーっという息を吐く音。
前髪を触ったり、服を払ったり、少しそわそわしているAさん。
これは、何かあったな。
別に勘がいいとかそんなんではなく、
今日はただただAさんが分かりやすい。
そんなことを考えていると、頬が緩んでいたようで、
彼女が少しむすっとしている。
「乾くん、今何か私のこと馬鹿にしてない？」
「してませんよ。」
「じゃあ、何でちょっと笑ってるの？」
「いや、わかりやすいなって。」
そう言うと、じわじわ笑いが込み上げてきて、
手で口を押える。
「笑わないでよ。」
小声で必死に言うAさん。
「何か、あったんですか？」
俺からの問いに中々答えず、
ちらちらとふくらさんがいる方を見ている。
すると、おもむろにスマホを取り出してメモアプリを開き
何やら打ち込んでいる。
しばらく打って、その画面を俺に見せてきた。
「好きって、言われたんです。
けど、私が返事できなくて、
終電の時間になってしまって、
今日はとても気まずいんです。」
その文面の意味が分かった瞬間
両手で口を押えて、大声を出しそうになるのを堪える。
Aさんのスマホを奪って、
自分も文を打ち込んで見せる。
「いつ、言われたんですか？」
「昨日。」
打った言葉を読むたびに、
声が出そうになるのを耐える。
目のリアクションで、Aさんに返しつつ、
文を打ち込んでいく。
「よかったじゃないですか！」
「でも、付き合うとか
そういう具体的な話はしてなくて。
本当に言われただけで…」
「別に嫌じゃないんですよね？」
そう打つと、こくんと頷くAさん。
「堂々と仲良く喋ってれば大丈夫です。」
それを見て、眉を下げて困ったように笑って、
スマホをしまって言葉を発した。
「それができたら苦労しないんだよ。」
「まあ、そうですよね。」
今日は２人から目が離せなさそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです！何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました！そうなんです！首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (12月16日 21時) (
レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます！ 最後までてえてえたっぷりで大満足です！) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀 | 作成日時：2023年9月17日 23時
