(QK)無題。4

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〜ini side〜


最近オフィスに人が少ない。
動画をまとめて撮る日以外は
各々撮影や打ち合わせ、講演会に飛び回っている。


「おはようございます。」
「おはよう。乾くん。」


編集のためにオフィスに着くと
すでにAさんと松田さんはデスクで作業中。
振り返って挨拶してくれたAさん。
松田さんは声は返してくれたけど、パソコンから視線が離れない。


前までその松田さんの席に直行していたが
その横を通り過ぎて日当たり抜群の自分のデスクに座って編集を始めた。


１時間ほど経っただろうか。
ヘッドフォンをして作業していると、周囲の音は聞こえないが、
ふと、Aさんの方が気になった。


松田さんが資料を見せながらAさんに向けて何かを話し、
Aさんはメモを取っている。

立場が逆な気がする。
郷に入っては郷に従えっていう言葉もあるし、
自分はどちらかというと和を大切にしたいと思うし、
入って間もないのによく言えるなと思ってしまう。


そのまま、２人の様子を見ていると、
メモを取り終えたAさんは
口の形で「ありがとうございます。」と言ったのが分かる。
しかも、にこっと微笑んでいる。

すげーなー、Aさん。
俺ならイラっとしちゃいそう。


そうこうしているうちにお昼の時間が来て、
ぞろぞろと午後からの撮影に向けて人がオフィスに
集まってきた。


自分も一旦編集作業を終えて、
撮影メンバーのデスク近くのソファへ移動する。



「お疲れ様です。」


周りはコンビニで買ったご飯を広げたり、
カップ麺をすすったり、昼食を取っている人が多い。


「あれ、Aさんお昼食べないんですか？」


知らない間に隣から松田さんが消えていて1人で作業している。


「もう買って来てあるから、これ目処が立ったら食べるよ。」
「ふくらさんの席、借りてもいいっすかね。」


ソファじゃなく、Aさんの隣に座った。


「さっき、何メモってたんですか？」
「え？ああ、効率的なやり方教えてもらってて、
　１回じゃ覚えられないからメモしてたの。
　松田さん、色々経験されてるから。」


俺は、おにぎりの袋を破りながら話を聞く。
Aさんは特に嫌には感じていないらしい。


そのうち、Aさんもコンビニの袋を持ってきて
お昼ご飯を食べだした。

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