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〜you side〜


撮影部屋から楽しそうな声が聞こえてくる。
撮影も終盤だろう。

私も、翌日松田さんに迷惑を掛けないところまでは
何とか仕事を終えることができたと思う。


「Aさん、隣いいっすか?」


久しぶりの声。乾くんだった。


「久しぶりですね。」
「大人しく、自分の席に戻ってましたから。」


パソコンを開いて、カチカチしだした乾くん。


「最近どうっすか?」
「最近?」
「ふくらさんと、どうなったんですか?」


「ふくらさん」という名前を出した瞬間に
こっちを向いてしっかり目線をさらっていく。


「…別に、何もないよ。」
「その間、絶対何かあるじゃないですか。」
「ほんとに、この前話したくらいしかないよ。
 一緒にご飯食べてそこからは忙しくされてるし。
 あ、今日この後ご飯行くけど…」


目線を逸らしながらそう言うと、にやっとする乾くん。


「いいじゃないっすか。」
「何か、楽しんでるよね。」
「恋バナって楽しいっすよ。」
「学生みたい。」
「まあ、ほぼ学生みたいなもんっすからね。」


そこまで言うとまたパソコンに目線を戻して作業を始めた。
私も、撮影が終わるまでにもう少し進めたいことがある。
2人無言で作業を続けた。


しばらくして、撮影部屋の扉が開く音が聞こえて。
一気に周りが騒がしくなった。


「乾、また来てんの?」
「松田さん居ないから、借りてるだけ。」
「何か、懐かしい感じするわ。」


こうちゃんが乾くんの隣にやってきた。


「腹、減ったー。誰かメシ行かん?」


須貝さんもお疲れモードなようだが、
みんなに声を掛けている。


「A、メシは?」
「あ、すいません。まだ仕事終わってなくて。」
「そうか。あんま遅ならんようになー。」


この後ご飯の予定があることは言えず断った。
乾くんが隣でにやにやしているのが分かったけど、
そこは見て見ぬふりをする。

そうこうしている内に、ふくらさんも隣に戻ってきた。


「終わった?」
「んー、最低限は何とか。」


さっき目の前の須貝さんからのご飯の誘いを断ったばかりで、
仕事終わりましたとは言えず、言葉を濁す。


「じゃあ、もうちょいだね。」
「はい。」


そう言葉を交わすと隣に座って、パソコンを開きだしたふくらさん。


「お疲れっすー。
 また、お邪魔しますね。」


乾くんをはじめ、少しずつ周りが帰宅し始め、
オフィスの中が静かになってきた。

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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