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日もすっかり暮れて、辺りは真っ暗になっている。
今は、スイカを使ってショート動画を作っている。
撮影も終わったので、みんなでスイカを食べようと分けているところだ。


「Aさん、松田さんも、スイカ食べません?」


乾が撮影部屋から外を覗いて声をかけている。
少しして入ってきたのは、Aさんだけだった。


「あれ、松田は?」


すでに呼び捨てになっている須貝さんに感心しつつ
質問の答えが気になるところ。


「あ、ついさっき帰っちゃいました。
 もう定時過ぎてるので。」
「せっかくのスイカやのに。」


色んなスタッフさんたちも入ってきて、
大きなスイカを分け合う。
いただきますとスイカを頬張っているAさんの隣に行って
小声で話しかける。


「もしかして、仕事終わってるのに、
 待っててくれてる?」


するとブンブンと首を振って否定する彼女。


「終わってる訳、無いじゃないですか。」
「でも、松田さん帰ったんでしょ?」
「松田さん、仕事激早なんですよ。
 私のやることが終わってないだけです。」


あはは、と笑いながらそう返してくる。


「そうなんだ。」


事務には事務の仕事のやり方がきっとあって、
それを2人で分担しているのだろうから、
そこに何か文句をつけることはやめた方がいいだろうと
「残って一緒に協力すればもっと早くできるのに。」
という言葉を飲み込んだ。


「でも、撮影終わるまでには、
 絶対終わらせるので。」


小さくこぶしを握って、気合十分のポーズをする彼女。
晩御飯を楽しみにしてくれているようで嬉しい。


大方が食べ終わり、スイカは撤収され、次の撮影が始まることに。
次は解答者で、準備が整うまでソファに座って待つ。



「ふくらさん、今日ちょっと嬉しそうだよね。
 何かあった?」


突然、同じ解答者の山本が話しかけてくる。


「え?何が、何が?」


山本が言う『何か』に心当たりは大アリだが、
周りにはスタッフもたくさんいてとぼけるしかない。


「スイカ美味しかったからかな?」
「それ、さっきのことでしょ?
 朝から何か機嫌良さそうだったよ。」
「んー、気のせいじゃない?」


これ以上詮索されないために
次の案件の打ち合わせについて話を振ると、
山本はそっちの方に会話を切り替えてくれて
なんとか逃げ切れた。

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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