４２ ページ42
がちゃ。
ドアが開く音がして、ぱっと時計を見る。
約束の15分前。
ふくらさんがドアを押して入ってきた。
「え？Aさん、早くない？
ちゃんと寝た？」
「おはようございます。大丈夫です。」
「ほんとに？無理しないでよ？」
そう言うと、ふくらさんも隣に座ってパソコンを開きだした。
「何が残ってるの？」
椅子をぐっと近づけて、デスクへ寄ってくるふくらさん。
私は書類を見せつつ、あともう少しで１つ終わりそうなことを説明する。
「何かいつもと雰囲気ちがうね。」
説明していたことと、全然違うことを言われて、
不思議に思ってふくらさんの方を見ると彼も私の方を見ていた。
「え？なんか変ですか？」
いつもと違う化粧が変だっただろうか。
服も髪型も、変だっただろうか。
不安になって聞き返すとふくらさんは微笑んだ。
「いや、素敵だなって思って。」
その言葉に赤面する私。顔が熱い。
嬉しさと恥ずかしさとでうまく言葉を返せない。
「じゃ、俺この残りのデータやっとくから、
Aさん、次の仕事取り掛かって。」
ふくらさんは私の手元から資料を抜くと、
すっと自分のデスクの前に椅子を戻した。
平静を取り戻すために、目を閉じて
気付かれないように深く息を吐く。
心臓の鼓動が落ち着いてきたところで
次の仕事のデータを開いた。
１時間ほど経っただろうか。
ふくらさんは１５分前くらいにデータ整理を終えて
今は自分の仕事をしている。
「ふくらさん、もうすぐ終わりそうです。」
仕事の目処が立って、ふくらさんに声を掛ける。
「お疲れ様ー。俺ももうちょっとでキリのいいとこまでいくから…」
データを保存し、書類を整理してラックに立てかける。
デスクの上の付箋で、今日終わったものをゴミ箱に捨てて、
乱雑に置かれたものを整理した。
これで次の仕事は気持ちよく始められそうだ。
「よしっ！俺も終わり！」
ふくらさんも勢いよく立ち上がって
疲れたと言いながら伸びをしている。
「じゃ、行きますか。」
「はい。」
「何、食べようかなー？」
荷物を持って、ふたりでオフィスを後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
00kohaku00(プロフ) - おれんじじゅーす。さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました。ko考察第２弾も考えてます！お楽しみに。 (8月2日 2時) (
レス) @page6 id: dd8212c960 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじじゅーす。(プロフ) - koちゃん視点面白かったです！！リク応えて下さってありがとうございます😭 (8月2日 1時) (レス) @page7 id: 7f991e8d5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀 | 作成日時：2023年7月26日 7時
