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「う〜、終わったー!」


伊沢さんの開放的な叫び声。


「途中、終わらないかと思いました。」
「でも、さすがふくらさんだったね。」


乾くんも隣に帰ってくる。


「あ、Aさんの顔見て思い出した。
 みんな、アイス食べましょー。」


そう言うと、冷凍庫から残っているアイスを取ってきて
みんなに配り始める乾くん。


「Aさんからなんで。」


我が物顔だけど、きちんと私からだということを
伝えながら配ってる律儀な人。


アイスを配り終えた彼が隣の席に座る。


「結局仕事してんじゃないですか。」
「まあ、最低限しないと、周りに迷惑かかっちゃうしね。
 さっきここ静かだったし。」
「あとどれくらいするんですか?」
「あと、これとこれかな?」


アイスを食べながら半分興味なさそうに横目で見る乾くんに
書類の束を見せる。


「それ、終わるんすか?
 みんな帰っちゃいそうですよ。」
「まあ、そのうち終わると思うんですけど。
 私鍵持ってるので皆さん帰っても大丈夫です。」
「え?そんなのあの人たち許さないでしょ。」


彼の目線の先を追うと、
雑談をする須貝さんとふくらさんと伊沢さん。


「もう、私もいい大人だし、
 責任もって仕事させていただきます…。」
「さあ、どうかなー?
 じゃ、俺は帰りますね。」


アイスのごみを捨ててごそごそ荷物をまとめると
乾くんは帰っていった。


よし、と椅子に座り直してキーボードを叩き始める。
忘れてたけど、こういうの新しい人に教えるのか。
1人ではできるけど、教えるとなるとまた難しいよな。


カタカタ、調子が出てきて
キーボードを叩くスピードが上がってきたときに
前から声を掛けられる。


「え?A、まだ帰んないの?」
「はい、ちょと今日は仕事残しすぎてて。」


須貝さんは、帰り支度を整えてリュックを背負っている。


「確かに今日は乾と遊びまくってたしな。
 待っときたいけど、終電ギリだよなー。」
「そんなの、お気になさらず。
 適当にタクシー捕まえて帰ります。」
「ま、タクシーなら安全か。
 俺明日また朝イチ新幹線やから、ごめん帰るわ。」


私が遊んでただけで、謝る必要もないのに、
謝りながら手を振って帰って行った。



「え、Aさん。何時までやるつもりですか?」


伊沢さんに尋ねられて返答に困る。


「何時までならいいですか?」
「質問に質問で返された。」


笑いながら腕時計を見て、頭を掻きながら悩む素振りをした。

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作品ジャンル:恋愛
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00kohaku00(プロフ) - おれんじじゅーす。さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました。ko考察第2弾も考えてます!お楽しみに。 (8月2日 2時) (レス) @page6 id: dd8212c960 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじじゅーす。(プロフ) - koちゃん視点面白かったです!!リク応えて下さってありがとうございます😭 (8月2日 1時) (レス) @page7 id: 7f991e8d5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月26日 7時

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