１５ ページ15
〜you side〜
ふくらさんだけでなく他の人たちも
ソファーへ吸い込まれていく人が多かったせいか
周りは静かである。
午後からは、オフィス外での撮影があるらしく
大半の人たちが居なくなる予定。
自分の仕事を黙々とこなし、お昼の時間。
お茶を汲みに席を立つ。
今日は久しぶりの？いやこのオフィスに来てからは
初めてかもしれないお弁当。
デスクに戻ると、大勢の人たちがわいわいがやがや
玄関の方へ向かっている。
あ、もうみなさん撮影へ出かける時間か。
誰へ言ったかもわからないいってきますの声に
とりあえずいってらっしゃいと声を返し
デスクにお弁当を広げた。
「え？お弁当、作ったの？」
ほとんどの人が出て行ったと思ったら
横から声がしてびっくりする。
ふくらさんだ。
「え、あ、まあ…
ふくらさん、撮影行かないんですか？」
「行くんだけどさ、トイレ入ってたら、
遅れちゃった。」
「私のお弁当なんかより
早く行ってください！！」
方向音痴のふくらさんが
1人路頭に迷う姿が脳内で再生され
慌てて立ち上がってふくらさんの背中を押す。
「あはは、めっちゃ追い出されてるみたいだけど。」
「お？ふくら、1人で行くか？
僕、後ろから着いていくけど。」
声の主は、河村さんだった。
「はっ！もしかして…」
「そう、河村に待ってもらってたの。」
「すいません。
もう、それは、ぜひ２人並んで行っていただいて
むしろ河村さんが半歩前を歩くように行っていただいて…」
もう見慣れた光景。
あわあわしている私をふたりが笑っている。
「Aさんの仰せの通り
半歩前を歩かせていただきますよ。」
「むしろ、言われる前からそうしようと
思ってたから。」
「もう！遅れたらだめなんで、早く行ってください！」
ふたりはひらひらっと手を振り
オフィスを出て行った。
オフィス内には何人も残っているが
自分のデスク周りには人は居ない。
お弁当の前に、スマホを開いた。
通知が１件。
珍しく須貝さんからだった。
業務上の連絡だろうか…
「はい。お土産。」
一言のメッセージとともに
綺麗な富士山の写真が送られてきていた。
朝のことを思い出して、思わず笑みがこぼれてしまった。
「ありがとうございます。絶景ですね。
お仕事がんばってください。」
送信ボタンを押すと、もう一件の通知が来た。
「ふせん、ありがとね！
疲れ吹き飛んだよ。」
あ、ふくらさん気づいてたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
00kohaku00(プロフ) - おれんじじゅーす。さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました。ko考察第２弾も考えてます！お楽しみに。 (8月2日 2時) (
レス) @page6 id: dd8212c960 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじじゅーす。(プロフ) - koちゃん視点面白かったです！！リク応えて下さってありがとうございます😭 (8月2日 1時) (レス) @page7 id: 7f991e8d5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀 | 作成日時：2023年7月26日 7時
