夢現。 ページ32
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目の前に広がるのは黒だった。
まるで目を閉じているかのように、何処までも続く暗闇。
そんな空間に五人の人物が居た。
いや、正確には四柱の神様と、多分一人の人間。
全員色褪せた写真のように体全体の色が薄れているが、はっきりとその姿が見える。
多分１mも離れていない。
白衣と袴を着た三十代と思われる男は、今以上に傷付いている岩融さんと石切丸さんと三日月さんと一期さんに向かって怒鳴っている。
"何でテメェのクソ弟共は来ねぇんだ"、"使い物にならねぇくせに手間かけさせやがって"と、聞くに堪えない罵詈雑言を喚き散らし、手に持っている棒で一期さんを殴る。
止めに入りたいが体が動かず、ただ見ている事しか出来ない。
だが、暴力と暴言はすぐに止み、男は不愉快そうに顔を歪めて舌打ちをする。
そして、"相変わらず何の反応もしねぇからつまらねぇな。憂さ晴らしにもなりゃあしねぇ。他の弟共を痛め付けるか"と吐き捨てるように言った。
それまでされるがまま黙っていた一期さんは、その言葉を聞いた瞬間、縋り付いて懇願する。
"弟達に何もしないでください"と。
男はそんな一期さんを振り払おうとするが、ピタリと動きを止める。
そして、ゆっくりと頭"だけ"が床に落ちた。
落ちた頭と繋がっていた首からは赤い液体が噴き出し、男の体は崩れるように床に倒れる。
他は色が薄れているのに、恐ろしい程に鮮やかな赤い色をしているそれは、男の白衣や床等を赤く染める。
男を見下ろしている三日月さんの手には刀が握られており、赤く染まった美しい刀の鋒から血が滴り落ちる。
三日月さんは美しく優しい笑みを浮かべ、"もう大丈夫だぞ"と囁いた。
そんな三日月さんから目が離せないでいると、とある声が耳に入ってきた。
変声機で変えたような異様な声で誰かは分からないが、確かに二人分の声が。
"……止められなかった。何をしてでも止めなければいけなかったのに…。"
"お前には無理だ。お前はあの時、一人で立っている事さえ出来ない程に傷付いていたんだぞ。"
"それでも、皆を守ると誓ったんだ。日本号…。"
その名前が聞こえた瞬間、三日月さん達の姿が黒い絵の具で塗り潰されたように見えなくなる。
それに驚いて其処を凝視していると、いきなり女が目の前に現れ、私を突き飛ばす。
一期さんの時と同じように醜い顔で笑う女がゆっくりと離れていき、私は咄嗟に手を伸ばす。
だが、伸ばした手は私のものではなかった。
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嗣美 - ふふおさん» コメントありがとうございますっ！長曽祢さんの夢小説少ないですよね。私もそれが悲しくて自分で書いてしまいました。なので、楽しんで頂けて嬉しいですっ！これからも楽しんで頂けるよう頑張りますっ！！ (2017年9月26日 1時) (
レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
ふふお(プロフ) - 長曽祢さんの夢小説は比較的数が少ないので、この小説だけが供給源です！ 楽しみに待ってます！！ (2017年9月25日 23時) (レス) id: 0eff09d945 (このIDを非表示/違反報告)
嗣美 - 「」さん» コメントありがとうございますっ！五つもあるので結構長いと思いますが、それを一日で全て読んでくださるなんて嬉しいですっ！！続きは只今作成中ですので、暫しお待ちを。 (2017年9月17日 19時) (レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
「」 - 今日、この作品を見かけまして一番初めから見てきました！！息をする間もなく見終わる位にパソコンに食いついていましたｗ。続きがとっても気になります！！更新待ってます！ (2017年9月17日 14時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
嗣美 - リズさん» コメント、応援、お褒めの言葉をありがとうございますっ！！いえいえ、そのお言葉が励みになりますから、とても嬉しいですよっ！(*´ω｀*) (2017年8月3日 17時) (レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嗣美 | 作成日時：2017年6月18日 20時
