微かだが、確かに聞こえた。 ページ31
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二戸前並んでいる蔵の片方から出てきた御手杵は、頭を掻きながら溜め息を吐いた。
御手杵「此処にも居なかったかぁ…。」
同田貫「わざわざ仲のいい奴らを引き離したんだ。そう簡単に見付かるような場所に隠さねぇよ。だから、悲観するにはまだ早ぇだろ。」
遅れて蔵から出てきた同田貫の言葉に、御手杵の眉間に寄っていた皺が消えた。
御手杵「そうだな、まだまだこれからだよな。よし、次行くぞっ！」
もう一戸前の蔵の戸を開け、手に持っている懐中電灯で照らしながら薄暗い蔵の中に入る二振り。
蔵は大きく立派だが、しまう物がないのか、中には数える程の物しかない。
それを一つ一つ照らしていると、御手杵の手がピタリと止まる。
そんな御手杵を不思議に思い、同田貫は懐中電灯の光の先に目を向ける。
光と二振りの視線の先には、光を遮る為に顔の前に手をかざしている大典太光世が座っていた。
自分を照らしている光が眩しいのか、指の隙間から見える大典太の顔はしかめっ面である。
御手杵「何でこんな所に居るんだ？」
大典太「……俺は元々蔵の中に居たからな。この方がお似合いだろう。……それで、そっちは何でわざわざこんな所に来た。」
同田貫「審神者が消えたから探してんだよ。見てねぇか？」
大典太「……審神者が？……見ていないが…。」
御手杵「そっか…。」
大典太の返答を聞き、御手杵は肩を落とす。
大典太「……だが、少し前に蔵の外から声が聞こえたぞ。あれは男女の話し声だ。」
御手杵「本当かっ！？」
項垂れていた御手杵は勢いよく顔を上げ、期待の眼差しを大典太に向けた。
大典太「……あぁ。微かに聞こえた程度だから、会話の内容と相手は分からないがな。」
同田貫「どっちに向かったか分からねぇか？」
大典太「……多分、洗濯場の方だ。」
御手杵「そっかっ！色々と助かったぜっ！」
同田貫「邪魔したな。」
大典太「……おい。」
御手杵「ん？何だ？」
御手杵と同田貫は蔵から出ようと踵を返すが、大典太に声を掛けられ、足を止めて振り返った。
大典太「……早く見付かるといいな。」
御手杵「おう、ありがとなっ！」
御手杵はニカッと笑い、同田貫は軽く手を振って今度こそ蔵を出た。
徐々に戸が閉まっていき、完全に閉まると暗闇と静寂が大典太を包む。
大典太「……あの時、決めただろう…。」
ポツリと呟いた大典太の言葉は誰にも聞かれる事もなく、闇に溶けて消えた。
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嗣美 - ふふおさん» コメントありがとうございますっ！長曽祢さんの夢小説少ないですよね。私もそれが悲しくて自分で書いてしまいました。なので、楽しんで頂けて嬉しいですっ！これからも楽しんで頂けるよう頑張りますっ！！ (2017年9月26日 1時) (
レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
ふふお(プロフ) - 長曽祢さんの夢小説は比較的数が少ないので、この小説だけが供給源です！ 楽しみに待ってます！！ (2017年9月25日 23時) (レス) id: 0eff09d945 (このIDを非表示/違反報告)
嗣美 - 「」さん» コメントありがとうございますっ！五つもあるので結構長いと思いますが、それを一日で全て読んでくださるなんて嬉しいですっ！！続きは只今作成中ですので、暫しお待ちを。 (2017年9月17日 19時) (レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
「」 - 今日、この作品を見かけまして一番初めから見てきました！！息をする間もなく見終わる位にパソコンに食いついていましたｗ。続きがとっても気になります！！更新待ってます！ (2017年9月17日 14時) (レス) id: 7f2420204c (このIDを非表示/違反報告)
嗣美 - リズさん» コメント、応援、お褒めの言葉をありがとうございますっ！！いえいえ、そのお言葉が励みになりますから、とても嬉しいですよっ！(*´ω｀*) (2017年8月3日 17時) (レス) id: c02e9c13bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嗣美 | 作成日時：2017年6月18日 20時
