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「はぁ...」
顔面偏差値が無駄に高い硬式テニス部のトップを走り続けている彼にも悩みの一つや二つもあるようだ。
部室で1人切なく響いた溜息は幸村の心情を表していた。
今日は色々な事があった。
Aが倒れ、それを幸村が支え。
そして保健室での出来事。
何故あのように動いてしまったのか。
幸村には悔いしか残らなかった。
「もっとあっただろう.....」
"神の子"
そう呼ばれている幸村には、計り知れないほどの重圧がある。
完璧でいなければ、そんな彼も気付いていない、無意識な思いが彼を苦しめている。
何に関してもそうだ。
勉強でも、運動でも、勿論テニスでも、恋愛でも。
何もかもを完璧でいなければいけない。
加えて彼は天才ではない。
人1倍努力をして、成し遂げた結果が報われただけであって、元からの才能など関係ないのだ。
「精市、珍しいな悩み事なんて。」
誰もいなくなった教室に突っ伏していた幸村に、柳が静かに近付く。
長年の付き合いからか、声だけで顔を見なくても誰だかわかるようになった。
幸村は顔を上げずに、唸って柳に返事をした。
「...お前は相変わらず、1人で背負うんだな。」
「.......背負ってるわけじゃない...言えないことがあるだけ。」
言えないこと、その言葉を参謀と言われる男が逃すわけなく。
「言えないこと、とは？」
「.....あのさ、某ドラマの台詞になっちゃうんだけど。」
「何だ。」
幸村は突っ伏していた顔を上げ、柳の目をじっと見つめた。
「運命って、信じる？」
柳の眉がピクリと動いた。
数秒の沈黙のあと、幸村は大きな溜息をついた。
「やっぱり、信じないよなぁ。」
呆れ半分のような乾いた笑いを見せた幸村は、どこか切なく見えた。
そんな幸村に柳はどう声をかけたらいいか悩みに、悩んでいた。
柳は運命など気休めでしかないと思っている。
本人が運命だと思えば、偶然隣にいた事だって全て運命と括り付けることができてしまう。
髪の毛を切った日が一緒だったら、運命。
遅刻した日が一緒だったら、運命。
すれ違ったら、運命。
そんなの、偶然なのだ。運命でもなんでもなく、偶然だ。
もし運命の相手が自分の好みではなかったら、決して運命など口にすることは無いのだから。
結局は自分が少しでも好意を抱いている相手と近付きたいがために相手を意識して運命など言っているだけなのだから。
「俺は...」
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はな 梅 。(プロフ) - はな梅。の新垢です←←←←← (2017年6月1日 18時) (
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作者名：はな梅。 | 作成日時：2017年4月30日 10時
