ストーカー ページ12
＿＿
ふさ、ふさと、この時期特有の足音が鳴る。
車一台通れるほどの橋を一人、静かに歩く
時折クラクションを鳴らされる度にドキリと胸を打たせながら、崩れるように危うげな足取りで正面のネオンを目指す。
風の音が響き、少々細身な月がどんよりとした重い雲に隠れ鈍く光っている。
どれほど歩いているだろう
時間はわからずとも、少し色が変わった靴の素足に触れる冷たさで結構な時ということは想像がつく。
「……」
ふさ、ふさ。
やまびこのように繰り返される足音
私がわかっているのは足音が2人分ということ。
本当は今頃家に着きゴロゴロとスマホを弄り、テレビを見ていつも通りの時間を過ごしているはずだった。
レポートの提出期限が近く、遅くまで大学近くのネカフェで作業をしていた為、終電間際になってしまった私はいつもは絶対に乗らない時刻の電車へと足を運んだ。
私の住んでいる所は都会の割に街頭が少なく、住宅街のため公共の施設がほぼない。
だからなのか変なやつに付けられている
頭で回想シーンを垂れ流ししていた時、走っているような足音が増えた。
.
.
「…おめぇ何してんだ」
何事かと後ろを振り返ってみるとすらっとした男性が少しふくよかな男の腕を捻り上げていた。
「あんた、ずっとつけてたろ」
強い威圧を感じる雰囲気を出す男性は私をずっとつけていたのであろう男にそう聞いた
「何を言っているんだ！」と大きめの声で喋る。
「サツに出されたくなきゃさっさと失せろ」
なんなんだ、と捨て台詞を吐きながら去っていく男。
「大丈夫か？」
小首を傾げながら聞いてくるその男性は先程の威圧感はなく優しげな雰囲気漂う、大人の男性だった。
"ありがとうございます"
確かに喋ったはずの言葉が聞こえない
パクパクと口が動かされるだけで発するのは「ぁ、」と言う吐きでるような声のみ
ガクン、そんな音がなりそうな程に崩れ落ちた私は真白に座り込んだ。
思い出したかのように急激に冷え出す体。
赤くなり過ぎた指や耳、鼻は今にも取れそうなほどに冷えている
「一旦あったけぇとこ行くぞ」
その男性は着ていたコートを私に羽織らせ、背中に誘導するとそのまま持ち上げ歩き出した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 更新待ってます (2020年12月21日 8時) (
レス) id: bdb52eac4b (このIDを非表示/違反報告)
レレレ攻撃 - 更新待ってます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 95442f4870 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - みんみんさん» 返信遅れてすみません(><)リクエストありがとうございます！今は1つまだ消化出来てないリクエストがあってそれの後と言う形になりますが、なるべく早く書きます！ (2020年8月20日 7時) (レス) id: 9feaa33097 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん(プロフ) - 初コメ失礼します！リクエストになるのですが、オクタンの悲恋系が見てみたいです！よろしければお願いします！m(_ _)mハンマーおめでとうございます！o(^▽^)o (2020年8月18日 3時) (レス) id: 4769bffb70 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - なさん» ありがとうございます！楽しんでもらえてとても嬉しいです！ (2020年7月2日 7時) (レス) id: 9feaa33097 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華月 | 作成日時：2019年12月30日 20時
