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Salvation過去編1 ページ7

「かあ…さま…?」

狐達の死体が転がっていた。
その中には母様の死体も転がっている。
何より、私たちの森に、
人間の男が何十人も入って来ている。
「あぁ…忌子め…、貴様の母のせいで我々は…」
「え…、なに?母様がなに…!!」
辛うじて生きていた狐はそう言って息絶えた。
つい大声を出してしまった私に気付いた人間達が
ぞろぞろとこちらへ向かってくる。
斧や手刀など、武器を手にした人間達が…
「いや…、来ないで…」
後退りをしても、四方八方を塞がれ逃げ道はなく
私に残された運命は『死』だけだと確信した。
「人殺しが…!報いを受けろ!」
人間の一人がそう言った。
すると次々に罵詈雑言が飛んでくる。
どうやら、私の母が
先程人間の村へ出て子供を殺したらしい。
…これは、母から仲間達への復讐か…
あぁ、結局、守ってきた母様も所詮は醜い女狐か…
なんて惨めなんだろう…
人間が私の頭上で斧を振り上げた。
憎しみ等の想念が渦巻いてなんとも言えない醜い顔
やはり人間も醜い生物…
この世の生き物は皆汚い。
本物の美しさなんて存在しなかったのかもしれない
でも嫌だ…こんな死に方は嫌だ…!
「助けて…、桂…」
来るはずのない助けを求めて…
人間は斧を振り下ろす。私は目を瞑った…
「…………」
どこも痛くない…、どうして?もう死んだの?
恐る恐る目を開けた。視界は光に包まれ
目の前では美しい赤髪が靡いている。
と同時に、赤い鮮血も飛び散った
「……けい…?」
私を庇って、斧を腹に受けた桂は
悲痛な声を上げる。
そのまま地面に膝をついて腹を抑え
そうしながらも私の方を振り返った。
「エレナ、大丈夫?」
いつも通りの綺麗な笑顔を頑張って見せながら…
私は泣いた。私のせいで、桂が死ぬかもしれない
そしたら桂は、私の頭をぽんぽんと撫でた。
「俺は平気だよ!」
桂は立ち上がって、何もない手中から
長い棒状の武器を出現させた。
一人で何十人もの人間へと立ち向かい、
素早く斧や手刀を叩き落とし
目にも留まらぬ速さで全員を気絶させた。
誰も殺さないその戦い方が…
あまりにも美しくて、私は目を奪われた。
結局一族で生き残ったのは私だけ…
それなのに、微塵も悲しく思わないのはなぜ…?
「…エレナ、ごめんね。みんなを守れなくて…」
桂は俯いて悔しそうに歯を食いしばった。
「ううん、いいの」
私を神に捧げる仲間たちは…もういない。
それなら私は、これからもずっと
桂と生きていけると言うことだよね…?

「ありがとう、桂」

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設定タグ:救愛組 , 創作 , 過去編   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:めあ@創作 | 作成日時:2019年6月19日 7時

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