序章…《語られない物語》 ページ1
あらあら、いらっしゃい迷い子さん。
よかったら少し、私の語りを聞いていかない？
いいえ、くだらない物語なんだけれど…
…『とある世界には４人の神様がいました』
大地を守護する神樹様
天空を守護する星の神様
人間たちの人生を決める創造の神様
世界の秩序を守る調和の神様……＿
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「待ちなさい、ルナ！」
私から逃げる彼を追って、虚無の世界に来た。
どうにかして人間世界を元に戻さなければ…
そう考えて必死だった
だから私は、コレが罠だとは気付かなかった。
「ふふっ、あははは！愚かだな御伽噺！」
彼は振り返り、大声で笑った。
すると私の体はたちまち動かなくなり
少しだけ焦った
「お前はこの世界から出ることができない
何百何千年と、この世界に閉じ込められた
私の気持ちを思い知れ…！」
「…ルナ、まだあの事を怒っているのね。
けれど仕方なかったと解って頂戴。
あなたの力は強すぎた…、危険だったのよ」
「黙れ偽善者…！
もう二度と、お前の力には屈しない！」
彼は随分御立腹のようだった。
無理もないが『孤独』が彼を壊してしまったのだ。
「…だけれどあなたは、まだ力を取り戻していない
永遠に私を閉じ込めておくことはできないわ」
彼は顔をしかめた。
「だから…、力を取り戻すために神樹を殺した。
でも、アイツは私の力を持っていなかった！」
私への怒りから、神樹への怒りに大きく変わる
「神樹は力を譲渡する相手を予め用意していた…
でもいいさ。それならそいつを殺せばいいだけ」
「やめなさい。あの子はまだ幼い。
あなたの力を奪い、最初に神樹に譲渡したのは
この私でしょう？あの子に罪は無いわ」
「そんなの関係ない…、私は力を取り戻す」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
それは昔々の大昔…
神の中でも随一輝く力を持って存在した彼は
幼く無垢で、純粋で、
力を制御するには早すぎた。
力を得意気に振りまく彼は
あまりに危険な存在だった。
だから、力を奪い、虚無の世界に閉じ込めた…
でもそれは失敗だった…
彼は『孤独』に壊れ、力を暴走させてしまった。
挙句それは人間世界まで影響する
当たり前だ、彼は秩序を保つために生まれた
『調和神』なのだからーー
調和の崩れた人間世界はもはや混沌に包まれる。
彼は動けなくなった私を見下ろして
愉快そうに笑いながら虚無の世界を出た…＿
続く
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作者名：めあ@創作 | 作成日時：2019年6月13日 14時
