言葉足らず ページ3
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告白してきたのは彼からだった。
クラスでの飄々としている宮治なんてどこにも居らず、想いを告げるために顔を真っ赤にしてくれたものだ。
しかし、一年もすればそれは風化するものである。
「なんで電話出えへんの。」
「お風呂入ってた」
色気もなんにもないこの会話は珍しくもなく、最近はどうしてもお互いにツンケンしてしまう。
電話こそするのは久しぶりで、それも彼からかかってくるなんて相当レアなことはわかっているのに、どうしてこうもときめかないのだろう。
一緒に帰っても、それだけ。
社交辞令のようにお祭りに誘われて、義務感のように一緒に行って、それだけ。
キスなんてしたのはいつだったっけ。
気持ちのこもった愛の言葉はいつが最後だろう。
「好きなはずなのになあ」
彼に女が近づけばイライラするし、他の女が告白してくるなんて許せない。
だけどこれは、恋愛感情なのかな。
ただ治に執着しているだけじゃないのかな。
虚しくなる心は無視出来ず、友人の話にも上手く笑えない。
どうして私は上手く躱せないんだろう。
ひとつの事がダメになると他のことも上手く出来なくなる。
「終わらせるしか、ないのかなあ……」
__「絶対に、離したりせえへんから」
そう言った彼は一体どこへ行ったのか。
ふと反対側の渡り廊下を見れば、彼が儚い顔をして歩いているのが見えた。
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作者名:あをいけ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/awoike_3th
作成日時:2018年4月9日 20時