『 元 担。』

元 10 ページ10

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「あー、お腹いっぱい」







机の上に隙間なく詰め置かれたお皿は綺麗に空っぽで








「Aちゃん、結構食べるんやね」








「食べること好きだから」








そっか、と言ってグラスに残っていたお水を飲み干すと、立ち上がり帰る用意をし出した2人


私もつられて鞄とスーツを手に取ると、伝票を持って個室の外に出た




お会計…

レジ、こっちだよね




入ってくる時に通った道を思い出しながら進む




あ、あったあった




レジカウンターを見つけて店員さんに伝票の挟んであるプレートを渡そうとすると








「ちょいちょいちょい！」








「なんしとん！」








「え？」









左右から伝票を持つ手とお財布を持つ手を抑えられた








「いや、こんなん出させるわけないやん」








そう言った平野は私から伝票を奪う









「あ！って、え、ちょ」








すかさず伝票を取り返そうとする私の腕を掴んで引きずりながら外に連れていく元自担

引きずられながら見えたのは平野がスマートにお会計をしている光景








「ちょ、ちょ、永瀬さん？」









これ、貴方のTシャツのお詫びなんですよー？


来た目的、分かってますか？


出してもらったら意味無いじゃん！








「ええねん」







いや良くないでしょ








「おまたー」








と、お店から出て来た平野に慌てて駆け寄る








「あの、お金っ」








「ええのええのー気にせんといてー」









「や、そんなのお詫びにもならない！」









「俺のTシャツ洗濯したら汚れ取れたから」








なんか訳の分からないことを言われ、納得しないまま2人に車の中に押し込まれた








「あの、本当にお金…」








「だー！しつこいなあ〜」







「俺らがええって言ってるからええの」








って、言ってる貴方は払ってないけどね？


…とにかく、どうしたものか









「でも、それじゃあ本当にお詫びの意味が…」








運転している平野と、その隣に座っている永瀬を後ろから交互に見ながら問いかける









「じゃあさ、またご飯行こうや」








「え？」









「今度はちゃんと割り勘で」









顔だけ後ろに向けた永瀬が、にっと笑ってそう言った








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