『 元 担。』

元 47 ページ47

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「…あの」









「ん？」









見慣れない部屋


正座している足をそわそわと動かす




…当たり前だ。だってここは









「…なんで廉の家…なんですか」








「やって、俺今日1歩も外出てへんし。準備すんのめんどくさかってんもん」









私とは対照的に、ベッドに寝転んでリラックスモード全開の彼




今日は仕事が無かったらしく


久しぶりに家でゴロゴロしているところに、私から電話がかかってきて


外に出る準備をするのがめんどくさくて私を家に呼んだ




…との事らしい





まあ、もう9時だしね









「…で、どうしたん」









Aから電話なんか珍しくてビビったわ、と少し笑いを含めた声で言った






…ドキドキ、心臓がうるさい




廉も私に気持ちを伝えてくれた時、こんな感じだったのかな



それを、私は最低な形で踏み躙ってしまった


…自分の気持ちに気付いていたにも関わらず。




どれだけ、彼を傷つけたのか


あの時に戻れるものなら戻りたい









「…あのね、廉」








緊張で震える手でぎゅっとスカートの裾を握りしめる






告白なんて、したことない


昔から自分の気持ちを表に出すのは苦手だった




毎日忙しいお父さんと、それを支えるお母さん



わがままなんて言えなくて


いつも勇太に当たってた




私を一番近くで見てきた勇太


家族よりも長い時間、一緒に過ごしてきた勇太



そんな、信頼できる勇太と話し合って

やっと自分の本当の気持ちに気付くことができた



自分の気持ちを伝えたい


初めてそう思ったの






…廉



あなたは今でも私のことを想ってくれてますか？





‘‘ 好き ”



そう、言ってくれますか？









「今更かもしれないし…もう、遅いかもしれないけど」









たとえ



どんな応えでも、受け止めよう。




ここに来る前に


そう、心に決めたから









「…私、あなたが好き」









顔を上げて


しっかりと廉の目を見てそう伝えた




彼は持っていたスマホを手から滑り落として、目を丸くする






数秒間フリーズすると、









「……嘘」








絞り出したような声でそう言った。









「嘘じゃ、ない」









「え、だって……え？」









信じられないとでも言いたげに私を見つめる









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