『 元 担。』

元 46 ページ46

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……あぁー…





1人になった部屋で、ソファに項垂れる




強く言いすぎた？


ちょっと泣いてた…？





さっき、Aは廉に電話して、家を出ていった



本当、素直じゃないんだから




…まあ、あいつの家が家だから仕方が無い部分もあるんだけど








…嬉しいはずなのに


少しの後悔が俺の頭に残る









「…俺も素直になっときゃよかったな…人のこと言えねーよ…」








呟いた声は、空気に呑まれてすっと消えてった




もう、何年だよ



指を折って数える




…1、2、3……10年以上かよ




指が2度目に折り返し数えそうになったところで、嫌になってやめた


自分でも驚くぐらい、俺って一途だったんだな



もーちょい、俺も早く素直になってたらなんか変わってたのかなー



…なんて







そんなことを考えたいると、昔のことを少しづつ思い出してきて





初めて俺がドラマのために金髪にした時



かっこいいじゃん とか


チャラい とかでもなくて




「チンパンジーに1歩近づいたね」




…もっとほかにあるだろ！って言ったら




「勇太はどんな髪色にしても何来ても何しても勇太だからね。…あ、チンパンジーでもあるけど」




って。


無意識で人の心鷲掴みにしてくるんだよな…




廉も、だいぶと振り回されそうだけど



…いや、もう振り回されてるんだろうな









「…はぁ」








長かった


今頃、ちゃんと伝えられてんのかな




…1つだけ引っかかることといえば



紫耀。




紫耀も、多分



…いや、絶対Aのこと……






…なんも起きなきゃいーけど、な。







酎ハイの缶に手を伸ばして飲もうとすると




ピンポーン


インターホンが鳴った








「…え」








_「神宮寺開けて〜！」








オートロックだからマンションの扉の前



玄樹が帽子を逆に被ってマスクをした、いつものスタイルでそこに立っていた



とりあえず、そこに居るのは危険だから慌てて鍵を開けて部屋まで通したんだけど









「…どうしたの」








角度の問題で見えなかったけど、玄樹の両手にはノンアルコールのビールやら酎ハイやらつまみやらがたくさん入ったビニール袋が









「神宮寺が泣いてないかなーって。優しいシンメを慰めに来たよ」








いつもの笑顔でそう言った




そんな玄樹を見て




…ちょっとの間、恋はいいや





そう思えた。








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