『 元 担。』

元 38 ページ38

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「…この部屋、だよね」









無事、ホテルについた午後1時。



勇太に指定された部屋の前、ノックをためらう



違う人、出てきたりしないよね…



変なところで用心深い自分、こんなところで出ないでよ



ふぅ…っと一息吐いて、部屋のドアをコンコンと2回ノックした








「はいはーい」








ガチャ、とドアを開けて顔を出したのは


キャップを被っていたのか前髪がかき上げられている玄樹くん








「あ、やっときた」








「おじゃま、します」








じんぐーじー


と、部屋の奥に勇太を呼びに行った玄樹くんを目で追う


玄関で動けない私








「あ、遅かったね」








「ちょっ、ちょっと、勇太」









遅かったね、じゃないよ！



お風呂上がりらしく、髪が濡れたままの勇太が頭を拭きながらこちらに向かって来た


そんな勇太の腕を掴んで








「こ、こんな、高そうなホテルっ」








払える訳ないでしょ！


そう勇太の頭をひっぱたく



私をなんだと思ってるんだよ！


ただのOLだよ！









「いてっ！心配すんなって、大丈夫大丈夫」









何が大丈夫なのよ！








「あ、そうだ。これ鍵」








勇太が玄関にある大きな靴箱の上に置いてあったカードキーを私に渡した








「この階の角部屋ね」







「ちょ、だからっ」







「ほーら、Aちゃんは早く自分の部屋行って！」








部屋の奥から私のボストンバッグを片手に出てきた玄樹くんに背中を押され荷物と共に外に追い出された



…こんなとこで止まってても仕方ない


これまたカードキーって…


勇太に渡されたカードキーを見ながらまた1つため息をついた








「…ちょっと、待ってよ」








部屋に入って呆然



こ、こ、ここ、スウィートルームってやつじゃ…




明らかに、勇太と玄樹くんのいた部屋と作りが違う


玄関が広い




パチっと電気をつけると真っ赤な絨毯がひかれてる廊下の奥に見えるステンドガラスがあしらわれた白いドア




バッグを玄関に置いたまま、恐る恐る廊下を歩く




ドアに手をかけて、ゆっくりと開けると








「…え」







「A」








いるはずのない、彼の姿が


…ちょ、っと待って


なんでいるの？



…え？なにこれ…？









「来てもーた」








「来てもーたって…え？…え？」









なんで廉がいるの？









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