『 元 担。』

元 37 ページ37

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「じゃあな」








「うん…ありがとう」








玄関で靴を履き終えた勇太が、私の1週間分の洋服や必要な物が入った大きなボストンバッグを持つ








「でも、いいのに…荷物ぐらい自分で」








「ばーか。俺でも結構重てぇのにお前じゃ途中で引きずることになるわ」









ちょっと小馬鹿にしたように私の額にデコピンをかました勇太




…痛い



でも、わざわざ私の荷物をホテルまで持って行ってくれるんだもんね


本当、優しいやつ



勇太がまず、友達の家に行く


それで、数時間友達の家に滞在してその友達の車でホテルまで移動


勇太がホテルについたら、私は家を出る



そして、勇太は友達と一緒にホテルで1泊だけする




別々に行くことで、多分、その…ヤラカシの子が後をつけるのは自分だろうと


そして、私は電車で移動しろと勇太は言った








「ね、その友達って…」








全然関係ない人に迷惑かけることになっちゃうのは流石に気が重い








「玄樹」








「…なるほど」








「玄樹くん怒ってなかった？」








私が用意してる間に誰かに電話してるみたいだったけど、玄樹くんだったのね








「またそっち系とか言われたら責任とってよね！…ってキャンキャン吠えてた」








…なんか可愛い



ダイレクトにその姿が想像できて少し笑みが溢れる








「って、じゃあ行くわ。」








「うん」








「夜遅いんだから気を付けろよ」








「うん」









彼が出て行った後に、スマホを手に取った




…気付かなかった









{ 大丈夫？


{ しばらくは会えへんって


{ はよAとご飯行きたいねんけど









廉からのLINEは、たった3行



それだけなのに




ズンと重かった私の心は少し軽くなった気がした








大丈夫だよ。迷惑かけてごめんね }








だけど、敢えて送らなかった




私も早くご飯行きたい


そんな気持ちはぐっと心の奥に閉まった






廉に返事をした後、初めて開く玄樹くんとのトーク画面







迷惑かけてごめんなさい }








すると、すぐに既読がついて彼から返ってきたのは








{ ホテルに1週間とかずるい







ふふ…


玄樹くんらしいや









ありがとう }









{ 訳わかんないから









親指が下を向いている絵文字が文の最後に付けられていて



おーい、ファンが泣いちゃうぞー




なんて、心の中でありがとうと呟いた








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