『 元 担。』

元 36 ページ36

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「…んだよ、これ…」









‘‘ あんたがここ最近紫耀と廉の周りをうろついてんのは分かってんのよ。

勇太もここに通ってるみたいだけど、

いい加減にしないと周りの人皆傷つけちゃうよ？”





嫌でも頭から離れない内容


可愛い丸字で、丁寧に書かれたそれからは彼女達の彼らへの思いが私には恐怖という形で伝わってきて








「…ほんと、びっくりだよね。オートロックなのにどうやって入ってきたのーって」








勇太の横顔に笑いかける



ねえ、そんな顔しないでよ


私、頑張って笑ってるんだから勇太もらそうだなって笑ってよ




そんな思いとは裏腹に


悲しそうに、辛そうに、泣きそうに



私を見つめて彼はこう言った







「…とにかく、移動しよう」








勇太の言葉に、さっき拭ったはずの涙が溢れた




怖いよ


私、怖いよ








「A…」








ジュニアとは言えども、ジャニーズ事務所所属という肩書きを持つ勇太達



今になって分かる、彼らの存在の大きさ






ご飯なんて行かなかったらよかった


連絡先も受け取らなかったらよかった



あの時、廉とぶつからなかったらよかった




どうにもできない後悔の波が深く押し寄せる





家も、自分の行動も全て知られていたということ









「…勇太とも、幼馴染みじゃなかったらよかったのかなあ…」








震えた声で、そう呟いた言葉は勇太の胸に吸い込まれていった








「そんなこと、言うなよ…」








私を抱きしめている勇太が蚊の鳴くような声を漏らした








「なんとかなるから…大丈夫だから」








「…ごめ…っ」








恐怖で押し潰されそうで


彼を傷つける言葉を言ってしまった自分が嫌で堪らない




たった1度、一瞬、電車で。


それだけが全てじゃないとは思うけど、その一緒にの過ちが、どれだけ大きな事に繋がってしまうのかがよく分かった








「…少し遠い所にあるホテルにしようか」







どうせなら旅行気分で楽しめよ


泣き止んだ私を見て、勇太が笑ってそう言った




さっきまでの空気が嘘みたい







「…うん…せっかくだし有給1週間ぐらい消化しちゃおっかな」







私も勇太に笑いかけると、じゃあ早く準備しろって私の背中を軽く叩いた








「…あ、ケーキとアイス忘れてた！」








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