『 元 担。』

元 24 ページ24

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「俺らまだ後2公演あるから残らなあかんねん」








「うん、頑張ってね。私、せっかくだから買い物して帰るよ」








「来てくれてありがとうな」








ポンッと頭の上に紫耀の手が置かれた


それをソファからじっと見ていた海人くんが、すごい爆弾を投下した








「ねえ、そう言えば紫耀の彼女さん、名前なんて言うの？」









私も紫耀も、スマホを弄っていた永瀬もその言葉に動きが止まる









「…海人、A俺の彼女ちゃうで？」








「…え！」







「…あはははっ！海人くん！もう、やめてっ！」








いつから私は紫耀の彼女になったんだ？


昨日まで嫌われてたというのに、1日で彼女になるとは世間的にすごいことだぞ








「えー…めっちゃ付き合ってるんだと思ってた」








「ないない！」







「廉も固まりすぎな」








紫耀の言葉に海人くんから永瀬に視線を移すと、スマホを持ったまま私をじっと見ていた



え、何、なんですか








「…海人、びびらせんなって」







「えーだってめっちゃ仲いいじゃん」








かと思えば海人くんと仲良く話し出す永瀬








「じゃあ、私行くね」







「うん、また」








紫耀にそう言って、楽屋のドアの前で靴を履いた








「おじゃましましたー」








「また来てね〜」








相変わらずスマホを弄ってる永瀬の隣で手を振ってる海人くんの声を聞いて楽屋を出た



長い廊下を歩いていると








「A！」








この空間に響き渡った自分の名前


若干高めの聞きなれたような聞きなれてないような声



驚いて振り向くと、楽屋の前に永瀬の姿が


そのまま私の元までツカツカと歩いてくると








「駐車場まで送る」








そう言って私の先を歩き始めた


いきなりのことで呆気に取られていた私も、はっとして永瀬の後を追った








「ね、永瀬くん」








後ろ姿にそう声をかけると、ピタリと足を止めた








「…俺だけやん」







「ん？」







「俺も下の名前で呼んで」







…え、え、


そう言った永瀬の顔は俗に言う仏頂面ってやつで








「廉くん？」








「くんいらん」








「廉」









「何」









いやいや、何って…









「…はよ歩いて！俺次のリハやらなあかんねんから！」









…あれですか、あの、噂のツンデレってやつですか









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