『 元 担。』

元 18 ページ18

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「にしても、なんでAはファンやめたん？」







ぬるくなったコーヒーを何故かふーふーしながら私に聞いてくる平野



もうアイスコーヒーじゃん


まあ夏だからいっか








「やめたんじゃなくて、興味が無くなったの」








「…なんか、興味無くなったって言われたらそれはそれでなんかグサッと…」









「だろ？俺の気持ち分かって」









何故か意気投合してる2人を横目に、さっき返してもらったイヤホンジャックをスマホに付けた


キラキラと揺れるそれを眺めていると








「そのイヤホンチック可愛ええよな」








「イヤホンジャックね」








すかさず私がつっこむと、大袈裟に 嘘！と叫んだ









「俺ずっとイヤホンチックやと思ってた…」








…やっぱりちょっとアホなのか？








「平野ってやっぱりちょっとアホなんだね」









「アホちゃうし」









アホって言ったらちょっと怒るのも本当なんだ









「あと、俺らのこと名字で呼び捨てなんや」








「え、あ…」








ファンだった時、ずっと平野、永瀬って呼んでたから…


今も心の中でずっと呼び捨てで呼んでる








「せめて下の名前で呼び捨てにしてや」








平野ってなんか、嫌 そう言って私を見た彼はなんだか子供が駄々をこねてるようで








「紫耀ね、分かった。」








名前で読んでもらえたのがよほど嬉しかったのか、今度はご機嫌にスマホを弄り出した








「そう言えば勇太明日何時起き？」








「6時」








「6時…目覚ましかけとくけど私明日仕事休みだから自分で起きてね」








「え、朝ご飯は？」








え、作らないとダメ？




そんな思いを込めて勇太を見ると、



うん



そう目で返された







「…分かったよ…」








「え、神宮寺今日泊まんの？」








「明日の仕事場こっからのが近いんだよね」









「…あ、そーなん」








すると、ひら…紫耀は立ち上がってスマホをお尻のポケットにしまうとソファの横に置いてあった自分のクラッチバッグを持って玄関に向かった








「俺、そろそろ帰るね」








「あ、イヤホンジャックわざわざありがとう」








玄関まで送ってお礼を言うと


…って…なんかデジャヴ？








「ん、ほんまにごめんね。おじゃましました」








それだけ言って彼は家を出て言った。



とにかく、ちゃんと話せてよかった。







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