無言 ページ44
.
「先輩ー…持ちますって…」
結局、私の荷物を持つと言って譲ってくれなかった先輩
自分の制鞄をリュックのようにして、右肩にエナメルバッグ、左肩に私の制鞄
誰がどう見ても重そう。そして辛そう。
『ええねんって。ええ筋トレになるわ』
「先輩ほっそいですもんね。転ばないでくださいね」
『余計なお世話や』
ふざけた会話をしながら駅まで歩く夜道
『山下さん』
突然、立ち止まった先輩
すごく真剣な表情で私を見るのに、私の鼓動も少しばかり早くなる
『俺な、』
口を開いたその時
「廉！」
突然、彼の名前を呼ぶ声が聞こえ、2人で振り返った
長い髪を風に靡かせながらこちらに向かってくる桜さん
先輩の顔が、歪む
「一緒に帰らない？」
私なんていないかのように、先輩に話しかけ綺麗に微笑む
『…山下さん、行こ』
そんな桜さんに見向きもせず、私の腕を取ると足早に歩き出す
「ねえ！廉！」
再び後ろから先輩を呼ぶ声に、先輩ではなく、腕を引かれている私が立ち止まってしまった
反射的に先輩も立ち止まる
この時、何故私は足を止めてしまったんだろう
「私、廉が好きよ」
車の走る音、虫の鳴く声、風の音
全てがシャットダウンされ、桜さんの声だけが頭の中を通り過ぎた
『…行こ』
少し緩んだ手の力を、もう1度ぎゅっと入れ直し私の腕をまた引いて歩き出す
「…先輩？」
チラリと私が振り返ると、悲しそうな顔で先輩を見つめていた桜さん
「大丈夫ですか…？」
私の言葉に返事をすることなく、どんどんと歩いて行く先輩
駅につくと、無言で改札を通って電車に乗り込みシートに腰をかける先輩
私も、その隣に静かに腰を下ろした
少しすれば動き出す電車
私と逆の方を向いて窓の外を見ている先輩
話しかけることも出来ず、気付けば最寄りの駅に
先輩が立ち上がり降りる準備をしてるのを見て、私もドアの近くに異動した
電車から降りて改札を抜けると、突然立ち止まった先輩
『…ちょっと、時間ある？』
.
終わり
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mi@ - これからもがんばってください。更新楽しみにしています。 (2018年5月6日 21時) (
レス) id: c77dac933d (このIDを非表示/違反報告)
日 和 。(プロフ) - 大好きです！！！待ってます！！！！ (2017年1月9日 21時) (レス) id: 8a873dbe15 (このIDを非表示/違反報告)
ありたん - 更新楽しみに待ってます！頑張ってくださいー (2017年1月9日 1時) (レス) id: 479e9e0924 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - これからもがんばってください。更新楽しみにしています。 (2016年12月4日 14時) (レス) id: c77dac933d (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 青春感がすごくてめっちゃいいです！！更新楽しみにしてるんで頑張ってください！！！ (2016年12月2日 2時) (レス) id: b9d465bfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようかん(羊羹)
| 作成日時：2016年5月7日 2時
