異変 ページ37
.
「なんで…」
ほんまに、なんでとしか思われへんかった
「あいつが好きやねん。」
正直、俺にはそこまでして桜に執着する廉の気持ちが分からんかった
「でもっ、」
「ええから！……惚れたもん負けってやつや 笑」
廉はそう言って笑った
「俺は、大丈夫やから 笑」
見た事のないような、酷い作り笑いやった
今でも、あの時の廉の笑顔は忘れられへん
「いつか…俺だけを見てくれるんかな」
広い広い空に、廉はポツリと呟いた
「…廉！今日帰るよねー？」
「桜！おん、帰ろ！」
中庭から俺らがおる屋上に向かってそう叫んだ桜
桜の周りには数人の友達がおって、廉が桜にそう返すと友達に冷やかされながら校舎の中へと入っていった
「…さ、俺らもそろそろ戻ろか」
その時の廉はどんな気持ちやったんかな
振り返ることなく、1人で足速に屋上の扉へと歩いていってしまったから、俺はその時の廉の顔を見てない
多分、きっと泣くのを我慢してたんやと思う
それは、もうずっと前から
大丈夫と言ってたけど、本心は全然大丈夫なんかじゃなかったはず
目には見えへんだけで、廉の心はずっと1人で泣いてたんかな
.
そんな、ギリギリの状態の廉が崩れてしまうのにはそう時間はかからなかった
.
それは、夏休みに入って少し経った、ヒンヤリとした風が吹く夕方のことやった
家で1人、進まない課題をしていた時のこと
突然鳴ったスマホ。着信は廉からで
いつかの時と同じ、嫌な予感が背中を走った
「…もしもし？」
応答をタップして画面を耳に当てるも、スマホの向こうから聞こえるのは小さな蝉の鳴き声だけ
「…廉？」
「…紫耀…」
…明らかに様子がおかしい廉
「何、どうしたん？」
「…俺…もうあかんわ」
やっと聞き取れたその声は震えていて、泣いてるんやと一瞬で分かった
「紫耀…なあ、どうしたらええ？俺、もう…」
スマホの向こうで取り乱す廉
俺は居場所も聞かずに、急いで家を飛び出した
…いつか、こうなるって心のどこかでわかってたんかも知れん
.
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mi@ - これからもがんばってください。更新楽しみにしています。 (2018年5月6日 21時) (
レス) id: c77dac933d (このIDを非表示/違反報告)
日 和 。(プロフ) - 大好きです！！！待ってます！！！！ (2017年1月9日 21時) (レス) id: 8a873dbe15 (このIDを非表示/違反報告)
ありたん - 更新楽しみに待ってます！頑張ってくださいー (2017年1月9日 1時) (レス) id: 479e9e0924 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - これからもがんばってください。更新楽しみにしています。 (2016年12月4日 14時) (レス) id: c77dac933d (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 青春感がすごくてめっちゃいいです！！更新楽しみにしてるんで頑張ってください！！！ (2016年12月2日 2時) (レス) id: b9d465bfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ようかん(羊羹)
| 作成日時：2016年5月7日 2時
