花吐く柱は今日も蛇柱を想ふ 【伊黒小芭内】

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｢綺麗…｣


｢そうだな。…Aと来れてよかった｣




藤の花を見上げるその横顔は

どんな花よりも美しいと思った




｢あれ…お抹茶…？｣


｢あぁ、私と店長からのちょっとした贈り物です｣


｢贈り物……？｣


｢そちらのお方が一人でお抹茶飲みに来てくださっていて、その時に店主に好いている人の話をしていたので…実ったのかなと思いまして｣




頬が熱くなるのを感じた

Aもこちらを見ている




｢わざわざ抹茶をありがとう。…店主にも感謝していると伝えてくれ｣


｢はい！伝えておきます！｣




定員は裏へと走っていった




｢まさか伊黒さんが私の事を相談していたなんて…｣


｢そんな事は今いいんだ。だいたい赤くなっている人の顔をまじまじ舐め回すように見るなんてAはいい性格しているな｣


｢ふふ。ネチネチ始まってますよ｣


｢煩い。早く食べよう。せっかく貰ったんだから｣




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あんころ餅も抹茶もとても美味しくて

Aはお礼を言う為に裏へ顔を出しに行った





｢実りましたか？｣


｢おお、店主か…その節は感謝している｣


｢良かったです…大切にしてくださいね｣


｢ああ、分かっている。また来るから今度はあんころ餅も贈り物にしてくれ｣


｢わぁ、図々しいですね｣




店主に別れを告げ

会計を済ませて橋の上でAを待つ





｢綺麗だな…｣





そう独り言を呟く





｢お待たせしました！帰りましょうか！｣


｢あぁ、家まで送っていこう｣


｢ありがとうございます。あ、少しだけいいですか？｣





こくんと頷くとAに手を取られて藤の花が咲き乱れている所まで駆け足で走った




｢走ったら傷口が開くぞ｣


｢今は全然痛くないんです！｣


｢そう言うところが子供っぽいんだ｣


｢この前は伊黒さんのほうが子供っぽかったです〜！｣





さわさわと藤の花が揺れている

暖かい風がAの髪を揺らす





｢小芭内さん。藤の花の花言葉って知ってますか？｣


｢知らん。なんだ？｣


｢あ、知らないんですね｣


｢何だ、教えろ｣




意地悪に笑うAを抱き寄せる

あの時は細すぎた体もだいぶ元に戻って来ているみたいだ

安心してAの肩に顎を乗せる





｢小芭内さん、愛してます｣


｢俺もAを愛している｣





藤の花の花言葉


『恋に酔う』

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