eight×短編集＝∞ 〈ver.4〉

0531のシガーレディー（橙） ページ26

｢…｣

｢あ、ちょ、何すんの｣

煙草を取り出してベランダに行こうとするAの煙草をひょいとつまんで腕をあげてみた

｢ちょ、私が小さいの馬鹿にしてんでしょっ！か！え！し！な！さーーいっ！｣

ぴょんぴょん跳ねても全く届かない煙草にも、諦めずにバンバンと僕を叩いて抵抗する。

｢…なんでそんなことするの…！｣
｢なんでやと思うー？｣

｢…単純に遊びたいだけ！｣
｢ちゃうでー｣

ソファーに座った僕の膝の上に座って煙草を向かって手を伸ばすAを猫みたいで可愛ええなと思ってるのも事実やけど

｢ううううう、隆平のおバカ｣
｢いくらでもいうてー♡｣

｢ああああ、この、変態ドMやろー｣
｢んふふ、｣

ジタバタジタバタ駄々をこねるA。
その光景は大好きなおもちゃを買って貰えなかった子供のような…

｢なぁ、A、今日って何の日な知っとる？｣

｢知ら、な、い｣

もう諦めたのか僕の膝の上に座ったまま、
ぎゅ、と僕を抱きしめてきた。

｢…そっかぁ、｣
｢…え？教えてよ｣

｢そこは自分で調べてな？｣
｢わ、そこは教えてよ…｣

｢んふふ、煙草はもうええの？｣
｢…今日は、隆平優先にしてあげる、よ｣

そう言うとぎゅーーと苦しいほどに抱きしめて僕を見上げては、ニヤリと笑った。


｢…んふふ、好きやわぁ｣
｢…何恥ずかしいこと言ってんの｣

そういって、小さな声で、ごにょごにょと僕の胸の中で呟いた。


｢…恥ずかしがり屋さんやねぇ、｣
｢…うっさい｣

聞き間違いやなければ、
『私も、』って聞こえたはず。

｢…これからの人生もずっと寄り添ってたいから、健康でいて欲しいしな、｣

｢ん？なに？｣

｢なんでもあらへんよー？｣
僕も抱きしめる力をぎゅっと強めた。

禁煙（青）→←飲み過ぎ注意（赤）

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