8人の始末屋と。（KJ8）

夜の雨 ページ28

Johnny


｢雨だ。｣

ジャッキーとエースとマックとガムは別室で、今宵も賭けごとを楽しんで、

トッポは1人昨日買ったばかりのゲームのソフトに夢中で、

アーセナルはいつものようにしかめっ面でエースとの賭けごとに負けたから書類の始末をしてる。


そして、俺はカウンターから皆を見つめる。


｢…ジョニー、雨降ってる。｣
｢ホンマやな｣
｢…雨、だよ｣
｢…雨がどうかしたん？｣

拭き終わったコップを並べてクイーンのいる方向を見つめると、クイーンは窓にへばりつくようにして雨を見つめていた。


｢何、見とるの？｣
｢……雨、｣


クイーンは呆然とその雨を見つめながら俺の方は一切見ずに呟いた。
そのクイーンの後ろ姿を見ると、そのまま雨の降る外へと歩き出してしまいそうだと思った。


｢…ホンマに、雨見てるの？｣
コップは全部拭き終わった。
後はええタイミングでエースが酒を置きに来るのさえ無ければ仕事は完璧。

怖いぐらいに窓を見つめるクイーンの元へと近づいた。


｢……雨、｣
もう一度小さくそう呟いくクイーンの目線の先には雨の中で言い争っていると思われる男女が映った。

男の方は雨宿りのためなのか、店の中へと女性を入れようとするが、必死の形相で女性はそれを拒絶していた。

痴話喧嘩か、？

そう不思議に思いクイーンを見つめると、やはりその二人組、いや、その後ろにある男が女と入れようとしている建物を見つめていた。

｢…あ、｣
ピンク色のホテル。


何を思っていたのか。

わからなくなって、もう一度クイーンの横顔を盗み見すると、

それらを見つめる黒い黒い瞳は光を失っていた



｢…夜の雨だからかな。少し、情緒不安定｣

そんなことをぼそりと話すと、俺の左肩にクイーンは頭を乗っけた。

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