縁無 2

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颯太「…へ、」

気づいたら、温かい温もりに包まれていた。また熱が上がるのだろうか、体は寒いのに。なぜかとっても温かくて。

『バカだなあ……』
颯太「…は、？」
『ずっとずっと1人で追い込んでたの？ 誰にも頼れなかったの？』
颯太「………………」
『もし内村くんが女の子と遊んだだけでその傷が癒されるんなら、私はそれでも全然良いよ。だけどさ、内村くんはそれで過去のこと、忘れられてる？』

耳元で話される声は、妙に心地良い。

『……弱み見せていいんだよ……』
颯太「……」
『なんのための友達なの…………っ、』

…なんで、

颯太「なんでAちゃんが泣くんだよ…」

今まで何度も色々な女の子と身体を重ねてきて、それで済むと思ってた。歳をとってけば、じきにこの胸の痛みは癒えてくるもんだと思ってた。だけど心は冷たいまま。

だけど、今Aちゃんに抱きしめられているのは、身体を重ねるより何倍も、何十倍も温かかった。

そっか、俺は、

誰にも干渉したくなかったんじゃなくて


1人が怖かったんだ。

気付けば、Aちゃんを抱きしめ返していた。

颯太「…………っ、」
『……うん』

涙が頬を流れる感覚に、髪の毛を優しく撫でられている感覚。今まで感じたことの無い、昔と今での感情が、一気に溢れてくる。

颯太「………………った、」
『え？』
颯太「さびしかった！！！！」
『……うん』
颯太「俺だけ、…俺だけっ、がっ、…、頑張ってて」
『うん』
颯太「家だけ残されても、なんもっ、なんも楽しくないっ…！」
『そうだよね』
颯太「っ、ゔっ、」

幼い子供のように、泣きじゃくった。
少しだけ、お母さんのことを、思い出した。

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