縁無 2

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翔馬「ごめんね勝手に」
『いや、全然大丈夫なんですけど…』
翔馬「……？」
『その、…手』
翔馬「手？ …あーね(笑) ごめんごめん」

玄関に着いてもずっと繋がれていた右手を指さすと、あっと気づいたかのように翔馬さんはパッと手を離してくれた。

翔馬「別に繋いだまんまでも良くね？」
『これ知れ渡ったらやられるの私なんですよ』
翔馬「あー、あん時みたいにね？ 俺うっちーじゃないけどなるかなあ？」
『なりますよ！翔馬さんのことかっこいいって言ってる人、結構見ます』

翔馬さんと付き合ってるなんて全校生徒にバレたら、きっと私なんて海の中の藻屑だ。容易に想像がつく。

翔馬「ま、でもさっきは逃げ勝ちじゃない？」
『え？』
翔馬「気まずいじゃん普通に。フラれた人近くに来たら」

翔馬さんはほんとに人の気持ちを汲み取るのが上手だと思う。私だけじゃなく、知らないうちに、色んな人の気持ちを感じ取って、それを助けてくれているのだろう。だからこの人は、みんなに愛されるんだと思う。

翔馬「という訳でタピオカ飲みに行かない？」
『財布の中大して入ってないですよ…』
翔馬「俺も無い〜、から割り勘で1個買うのは？」
『そこは奢ってくれるとこじゃないんですか』
翔馬「残念俺はそこまで懐広くありません」

ローファーに履き替えて、昇降口を出る。いつの間にか、離れていたその手は、また小指同士が触れ合っていた。

翔馬さんと一緒に居るのは楽しい。気を遣わなくて済むし、きっと翔馬さんも気を遣っていないと思う。



大丈夫。きっと忘れられる。

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