１６８ ページ31
『緑谷くん！ 洸汰くんは！』
緑｢無事だよ！ 君は!?｣
個性を維持するのをやめて、顔の血を拭った。鼻血なのか、怪我なのかはもう分からない。けれど、既にどうだっていい。
結構な勢いで、姉を蹴り飛ばしていたからもしかすると捕えられるかもしれない。そう思って、姉の居た場所を見るが何も無かった。
ただ、どろりと粘性のある液体が地面にあるだけだ。
『にせもん……』
姉にそんな個性はなかった。私と同じプリズンだけ。しかも私は偽物にあんな苦戦を強いられていたのか。
……いや、ナイーブになっている暇は無いな。そう考え直して、私は緑谷くんの隣について走り始める。
緑｢走れるの!?｣
『うん、へーき。洸汰くんもごめんな、血まみれで怖いよな』
洸汰くんは、やはり怖いのか緑谷くんの首に顔を埋めたままだ。
『緑谷くんは、洸汰くんを施設に届けて。私は、爆豪達を探す』
緑｢そんな、君は……！｣
『絶対に殺されへん！ 個性維持せんでいいんやったら、機動力も負けてない。捕まらん。私の個性も、絶対に人を守るのに役立つ』
緑｢その怪我で……君は何を言ってるんだよ｣
緑谷くんの大きな瞳には、薄く涙の膜が張っている。
『緑谷くんに言われたくない。へーき。すぐ合流する』
私は、そう言い捨てて緑谷くんから離れた。多分、肝試しのコースに集まっているはずだ。なら、敵もその周辺に固まっているはず。
緑｢檻守さん……！ 違うだろ、君も狙われてるんだろ!!!｣
そんなことは知っている。だからこそ、殺されないことを利点にしなくては。
私は、必死に走りながら耳を澄ませる。もしかすると、戦闘しているかもしれない。周囲を見回って何も無ければ、施設に戻ろう。
《A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する》
マンダレイの個性で、頭の中に言葉が響く。……戦闘許可。そういや始め戦闘は避けろって言われてたっけ。ガッツリしちゃったな。
《敵の狙いが二つ判明＿＿!! 生徒の『かっちゃん』と『檻守さん』！ 分かった!? 『かっちゃん』と『檻守さん！』二人は戦闘を避けて!! 単独では動かないこと！》
緑谷くんと、マンダレイが合流したのか。なら、洸汰くんも無事。
にしても……。
『頭ん中でうるせえな……』
ただでさえガンガンに痛むのだ。勘弁してくれ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みすじ。(プロフ) - エリスさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも更新頑張ります。爆豪くん、良いですよね！ (3月27日 11時) (
レス) @page17 id: 5f57a4ca31 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 一気読みしちゃいました！更新楽しみすぎます！ばくごーくんオチに1票！ (3月26日 22時) (レス) @page16 id: 6970de97bc (このIDを非表示/違反報告)
みすじ。(プロフ) - 夜桜さん» 檻守ちゃん褒めてくれて嬉しいです。ありがとうございます！！！ (3月24日 17時) (レス) id: 5f57a4ca31 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - めっちゃ面白いです！檻守ちゃんめっちゃ可愛いです！！！ (3月24日 14時) (レス) @page9 id: 8f7b32c140 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みすじ。 | 作成日時：2024年3月24日 13時
