１６１ ページ22
『緑谷くん』
私は、カレーを全て食べ終わってから緑谷くんを追った。時間差はあったが、それでも足跡を残してくれたおかげですぐ追いつける。
緑谷くんが持っていたはずのカレーを、今は持っていない。どこか落ち込んだ様子で地面を眺めながら歩いているところの彼に私は声をかける。
緑｢檻守さん。どうしてこんなところに｣
『緑谷くんが、わけわからんとこ行ってるから迎え来た』
緑｢あ、ああ……そういうこと｣
緑谷くんは、モサモサ頭を掻きながら困ったように眉を下げた。
緑｢洸汰くんが何も食べないのかなって思ってカレーを持っていったんだけど｣
嫌われちゃってるみたい、と言う緑谷くん。しかし、洸汰くんを見た限り緑谷くんだから嫌われているという感じはしない。私たち全員、嫌なのだろう。
『まあ、多感な時期やろうし。そっとしとくんも優しさやと思うけど』
私が、サラリと言い流すが緑谷くんは納得いかないようで。
『はあ。……そんな心配なら、声掛けてこよか』
緑｢い、いいの!? いや……でも｣
『まあ、私行っても変わらんと思うけど』
私自身、子供と接す機会は少ない。緑谷くんのように優しくできるかと言えば、分からないけれど。
緑｢お願い、していいかな。出来れば、ご飯もちゃんと食べて欲しいし……｣
『ん、分かった』
私が出来ることといえば、ご飯を食べているかどうかの確認だろうか。声掛けても、怒られてしまいだろうな。
＿＿＿
私は、緑谷くんに教えてもらった洸汰くんの秘密基地に近付いた。とはいえ、すぐに声を掛けると警戒されるだろうから偶然を装って。
『……』
洸｢てめえ、なにやってんだよ｣
『あれ、洸汰くん。こんな場所でどないしたん』
私は、塀もなく一歩足を踏み外せば崖から落ちてしまうような場所を登った。頂上では、やはり洸汰くんが居て私を見た途端ギロリと睨まれる。
しかし、彼はスプーンでしっかりとカレーを食べていた。
『いや、まあいいや。少し一人になりたくて散歩しててん。先客おるなら、帰る』
洸｢てめえは、ぐたぐた言わねえのかよ｣
『……誰か、なんか言ってきた？』
不思議なもので、自分に興味が無いと思わせた途端引き留められる。
洸｢緑谷……とかいうモサモサしたやつ｣
『ああ。うーん。緑谷くんは、多分洸汰くんの事が気になるんだと思うよ。仲良くなりたいんだ』
洸｢俺は、誰ともつるむ気はねえよ｣
『うん。だから、それは洸汰くん次第。気が向いたら、話しかけてあげて。私でもいいけど』
私が、そう言うと洸汰くんは激しい舌打ちをした。どこか爆豪に似てる気もする。
『邪魔してごめん、またね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みすじ。(プロフ) - エリスさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも更新頑張ります。爆豪くん、良いですよね！ (3月27日 11時) (
レス) @page17 id: 5f57a4ca31 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 一気読みしちゃいました！更新楽しみすぎます！ばくごーくんオチに1票！ (3月26日 22時) (レス) @page16 id: 6970de97bc (このIDを非表示/違反報告)
みすじ。(プロフ) - 夜桜さん» 檻守ちゃん褒めてくれて嬉しいです。ありがとうございます！！！ (3月24日 17時) (レス) id: 5f57a4ca31 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - めっちゃ面白いです！檻守ちゃんめっちゃ可愛いです！！！ (3月24日 14時) (レス) @page9 id: 8f7b32c140 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みすじ。 | 作成日時：2024年3月24日 13時
