恋占い、一回1000円。

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一人だけの午後も

買い物したりお茶したりで

あっと言う間に過ぎていった。


どことなく虚しかった心だって

ちゃんと晴らすことができたハズ。



「＿＿＿あなたの将来、俺が1000円で占いますよー」


「・・・え、」


「言えない悩み、言えない想い、

俺が1000円で晴らしますよー」


・・・知ってる声。



「あ、さっきのおねーさんじゃん」


「・・・・・・。」


気づかれないように通りすぎようなんて

ましてや通り過ぎれるなんて思った私は

実に浅はかだった。



「ねーねー、無視しないでよー」


「・・・なんでここにいるんですか」


さっきの駅からは、

10駅くらい離れてるのに。



「決まってるじゃん、営業だよー」


「えい、ぎょう・・・」


これのどこが営業なんだろう。


大体客なんているんだろうか。



「こんなとこで会うなんて偶然だねー!!」


「・・・ほんと、よくできた偶然ですね」

ひょっとして、つけてきた？


いや、さすがにそれはないか。


さっきの駅からつけてくるなんて、

そんなの不可能だ。

さすがの私でも気づく。



「あれ、もしかしてなんか疑ってる？」


「・・・当たり前でしょう」


大体なんなんだ、

イケメンフリーター占い師って。


自分でイケメンとか言う？

確かに、若いコにモテそうな顔してるけど。



「んー、仕方ないなー」


「・・・何がですか」


「おねーさんお腹空いてない？」


「・・・別に。」


さっきカフェでミルフィーユ食べたから

全然お腹は減ってない。



「いやいや、そんなことないでしょ!?

そろそろそこのファミレスで夕飯食べたいでしょ!?」


「空いてないですし、

食べたくもないです」


・・・しつこい男だ。



「俺の奢りだから、ね？」


「は、」


さっぱり意味がわからなくて

占い師の顔を見ると、

その顔は何故かムッとしていて。



「おねーさんそんなにビジンなのに

ナンパとかされたことないワケ!?」


「はい？」


「だから、俺の奢りで夕飯食べよって誘ってんの!!」


「嫌です」


なんでこんな胡散臭い男と。



「え、そこ即答!?」


「逆に迷う余地とかあります？」


「あるでしょ!!

だって俺イケメンだよ!?」


「そーゆーの興味ないので」


30歳に差し掛かった今、

あまりイケメンに惹かれなくなった。



「おねーさんホント変わってるね」


変わってるのはこの男の方だと思う。


っていうか、その自信はどこから来るの。





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