恋占い、一回1000円。

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お互いに、

お酒が回って程よく気持ちよくなり始めたころ。



「ねえA、いい？」


・・・なにが、なんて聞かなくても分かる。



「久々だし、今日はじっくり愛したいんだけど」


いいよ、って言ってないうちから前のめり。

きっと、最初からコレ目当てで来たんだろう。


じっくり愛したいなんて言って、

人を愛する方法はいくらでもあるというのに。


考えれば考えるほど、

自分の立場が虚しくなってくる。


こういう方法でしか、

愛してもらえない自分の立場が。



「・・・お皿洗ってからにさせて」


「え、」


いつもなら、彼の申し出を笑って受け入れるところだけど

今日はあえてそうはしなかった。


彼だって、

まさか私がYESと言わないなんて思ってなかったはずだ。


だから彼は今、とてつもなくバツの悪そうな顔をしている。


自分だけ積極的に攻めて、

空振りに終わってしまったのだから当然だ。



「・・・なんかあった？」


「別に、特には」


自分の心が、

春樹からどんどん遠ざかっていく。


自分でも不思議なくらい、

呆気ないほど早いスピードで。



「なんか怒ってんの？」


「なんで？」


もっと早くに気づいてほしかった。

私自身、もっと早く気付くべきだった。



「なんで、って・・・今日Aヘンだよ。

俺がなんか言っただけですぐ突っかかってくる。」


所詮この男は、

自分に従順な都合の良い女が欲しかっただけなのだ。

自分の物足りなさを埋める誰かが欲しかっただけ。


日常生活に飽きてきたころに、

偶然高校時代の元カノと再会。


妻子持ちで彼女持ち、

なんていうスリリングな状況にいる自分に酔っている

春樹は昔からそういう男なんだ。


カッコつけで、かくれナルシ。


女子に優しいし、

基本的には一緒に居て楽しいんだけど。


ホントは、自分のことしか考えてない。



「・・・春樹、」


「ん？」


「＿＿＿＿＿別れよう。」



いままで必死になってしがみついていたものは、

案外呆気なく手放すことが出来た。





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