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何となく壁一面のガラスの水槽を眺めていると、



「___っ、!?」


ある灰色の魚と目が合った。


あまりにも衝撃的な面構えで、

思わず言葉を失う。



「・・・一ノ瀬くん、」


「ん?」


私が指差す方に目を移した一ノ瀬くん。

すぐさま噴き出して魚に一言。



「___うっわ、ブサイクだなーお前!!」


ブサイク、なんて

ストレート過ぎやしないか。

若干可哀想な気もする。


大きな顔に対して、

不自然な程小さな目。


おでこにはコブみたいなモノがある。


オマケに鋭くとがった小さな歯の数々。



可哀想だが、

不気味でブサイク、としか言い様がない。



「・・・なんかでも親近感湧くね」


カメラのシャッターボタンを押しまくりながら

一ノ瀬くんが笑う。



「・・・確かに」


ヌッと現れて、ゆっくりと泳いでいる魚。


いかにも友達とかいなさそうで

孤独なカンジだけど、

本人いや本魚は全く気にしていなさそう。


そもそも魚に

友達なんていう感性はないかもしれないけど。


そんな哀愁漂う姿が、

なんだか愛らしい。



「・・・あ、もうすぐ1時半だ」


ひとしきり撮り終えて

時計を見た彼がそう告げる。



「そろそろ行かなきゃね」


1時半からイルカショーが始まる。


もう少し見ていたい気もするが、

今日はこのショーを見るために来たようなもの。



「行こっ!!」


急に差し出された右手。



「え、・・・」


これ、は、

・・・手を繋げ、ということ?



「ほら!!早く!!」


いや、いやいや・・・


早く、と言われても

さすがに手は繋げない。


第一三十路女が手を繋ぐのも憚られる。



「・・・走るよ、」


ためらう私の左手首を掴むと

イルカショーの会場へと走り出す。



「ちょ、待って」


待って、って言ってるのに

一ノ瀬くんは立ち止まってくれない。


それどころか、

振り返ってすらくれない。


・・・左手首が熱い。


彼の手が熱いからか、

それとももっと別の理由か。


どっちみち、

強く掴まれた手首は離してもらえそうにない。





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Julia(プロフ) - イチゴさん» レス遅くなってごめんなさい!とっても嬉しいお言葉、本当に感激しています><これからもどうぞよろしくお願いいたします・・・! (2018年1月7日 0時) (レス) id: 5d9e2ea9d3 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - なんか言葉だけじゃ表せないぐらい面白かったです!なんか意味不明ですかね?(-ω-;) あと焦らずゆっくり更新頑張ってください!(*´▽`*) (2018年1月3日 2時) (レス) id: 5cdffbbcc0 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - 翡翠葛@優杏さん» コメントありがとうございます!一ノ瀬君の可愛さがより伝わるよう、これからも頑張ります!!これからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2018年1月2日 15時) (レス) id: 32a8b9c6f7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠葛@優杏(プロフ) - 一ノ瀬くん可愛すぎやしませんか…?一ノ瀬くん可愛いし文の書き方好きだし…むっちゃおもしろいです! (2018年1月1日 23時) (レス) id: 3eab18cbf5 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - リンクさん» レス遅くなってしまってゴメンナサイ!とっても嬉しいです、ありがとうございます(/ω\)更新頑張りますのでどうぞこれからもよろしくお願いします! (2017年11月22日 1時) (レス) id: 5d9e2ea9d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Julia | 作成日時:2017年4月22日 12時

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