恋占い、一回1000円。

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「ねー、ちょっと待ってよ」


「なんでついてくるのよ」


痛いピンヒールで頑張って早歩きするけど、

後ろから追いかけてきたコイツが横に並ぶのは時間の問題だ。


でも走る気力なんかない。



「・・・お客さん置いてきてるけど」


「あー、まー大丈夫っしょ」


「なにバカなこと言ってんのよ、戻んなさい」


お客さんがどうして、

アンタみたいな男の占いなんかに来てると思ってんのよ。


将来のこととか不安で、悩んで、どうしようもなくて。

当たらないかもしれないけど、それでも知りたくて。


運命とかそういうのを少しでも変えれるんだったらって

藁にもすがる思いで来てる人だっているかもしれない。



「もー、まじめだなーAさんは」


「常識でしょこんなの。

いーから戻って、早く」


アンタが不真面目すぎるだけ。



「えー？」


「『えー』じゃないわよ、ってかなんでついて来たのよ」


「だってAさんが逃げるから」


「別に逃げたわけじゃ、」


・・・ただ、もう帰ろうと思っただけで。



「俺にはそー見えたの！」


「・・・・・・。」


仮に私がアンタから逃げてたとして、

だから何だって言うんだ。



「逃げられたらさ、追いかけたくなるじゃん？」


「なりません」


「えー？」


大体、私がアンタから逃げたのはこれが3回目だ。



「・・・なんで今日は追いかけてくるの」


「んー、なんでかなー」


特に考えもなく、気分で私を追いかけてきたというのか。



「・・・やっぱ別にどうでもいい。」


期待を裏切られたような、そんな気持ちになってしまうのはなぜだろう。





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