ep8 ページ8
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「けーと、」
その週末の夜、俺の家の呼び鈴を鳴らしたのは隣に住む知念だった。
昔から何かあるとすぐ俺の家に遊びにきて、マシンガントークかまして気がすむと帰って行くのだ。
その日は寒いのに、部屋着にマフラーを巻いただけの姿で扉の前に立っていた。
かじかんだ指に息を吐く。
俺はその肩を掴んで慌てて家にあげた。
「寒いでしょ。あったかいもの入れようか？」
華奢な肩にブランケットをかけて、そのふわりとした髪を撫でた。
ぶんぶんと首を振った彼は、たちまちむすっとした表情になった。
「なーに、どうしたの？」
こういうときは、決まっていつも怒っていた。
特に、やまちゃんのことで。
「りょうすけ、急に女の子と喋るようになった」
膝を抱えてすわる彼がブランケットの裾をいじって、不服そうに口を歪めた。
それはね、知念に近づく女の子を一人ずつ撃退していくための最終手段なんだよ。と、そんなことは言えず。
この二人の純粋な恋愛に、俺はふかく口出ししてはいけない。
「いらいらする、」
「どうして？」
「....りょうすけのくせに。だって、りょうすけは、」
「やまちゃんは、なに？」
知念はそこで喋るのをやめて、抱えた膝に顔を伏せた。
「けいとのばか」
ばかって言った方がばかなんだよ。
だから知念は、ばかで、やまちゃんも大ばかだ。
「ねえ、ちぃ？素直にならなきゃ、きっと後悔するよ」
「やだ、けいといじわるばっかり」
知念がふり向くまで、きっと、やまちゃんはずっと待ち続ける。
でも、それはすこし見込み違い。誤算だ。
だって、知念は最初からやまちゃんのことだけを見てきたんだから。
「.....ぼく、いつからこんなのになっちゃったの？ばかみたい、」
ぽつり、ぽつりと言葉を吐くたび、
伏せた腕から覗く耳は赤くなっていく。
ぎゅう、と膝を抱えて小さくなって、
自分の中に渦まく一定の感情をふりはらうようにきつく目を閉じた。
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彗桃(プロフ) - 男に絡まれる知念ちゃん、不憫ですが可愛くて涙出てきました（；；）なん様の書くやまちねだいすきです！ (2018年1月22日 2時) (
レス) id: 89eb2c9c11 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 初めまして！なん様の書くちねんちゃんが可愛すぎて、何度も何度も読み返しております、うふふ。これからも妖精ちねんちゃんと溺愛やまだくんを楽しみにしております！ (2017年7月16日 20時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぷよぷよさん» コメントありがとうございます(^^) 宝物って表現かわいいですね、、かわいいやまちね書けるようにがんばります！ (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぁぃさん» リアル知念くんの話し方が妖精なんでしかたないですね....コメントありがとうございます！ (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ゆーきさん» いえこちらこそいつも読んでくださりありがとうございます（ ; ; ） (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なん
| 作成日時：2017年1月11日 0時
