冷酷な王子は。ryosuke × yuri

ep29 ページ29

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「今までの人生で知念のことを好きじゃなかった時なんて一度もないよ」


「ぼくより、好きなものは、」


「ないよ。なに、ほんとどうしたの、」



彼は僕と違ってばか正直で、すなおなまま育ったから、

彼の言葉に嘘がないってことくらいはわかる。


だって、ずっと一緒にいたんだもん。



「ぼくが世界で一番りょうすけのこと大好きだよ」



彼は少し驚いた顔をして、またふわりと笑った。

そしたら突然恥ずかしくなってしまって、慌てて目をそらす。



でも、無理やり顔を上げられて、ぴたりと唇がくっついた。




「.......な、」


「かわいいなあ、知念」


「誰かに見られたらどうするのっ、」


「見せとけばいいよ」




廊下には誰も見えなかったけど、僕は恥ずかしくなってすぐに教室をとびでてしまった。

そしたら追いかけてきて、きもちわるいと大きな声をだしたら、遠くにいた圭人が呆れて笑っていた。




「仲直りできた？」


「できない、もうりょうすけなんて知らない」




圭人の手を引っ張って歩く僕に、彼は不服そうな顔をしていた。




「でも世界で一番俺のことが好きなのは誰だよ」



顔を上げると、誇らしげに笑う憎たらしいコイビトが見える。


顔の中心からじわじわと熱がたまっていって、そんな僕を見て圭人はうれしそうに笑っている。




「そんなの嘘にきまって、」


「俺は宇宙で一番ちねんゆうりを愛してるよ」




声が大きいんだってば、




「そんな言い合いしなくても元から運命の二人なんだから大丈夫だよ」



圭人は運命論を信じるタイプだった。

でも、45番が僕たちだったことをりょうすけが知ったらきっと調子にのるから、秘密にしておこうと思った。




(運命なんてくだらないと思っていたけれど、彼の運命の相手が自分以外なんて絶対に考えられない)

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