冷酷な王子は。ryosuke × yuri

運命論 ep26 ページ26

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春は文化祭。


うちの学校は五月に文化祭がある。

朝から張り切って店番を他の人に押し付けまくってるやまちゃんも、いつもより楽しそう。



毎年恒例のイベント、全校生徒にカップルカードというものが配られる。

番号が揃ったら景品が貰えるとかナントカ。毎年それきっかけでカップルが誕生することもあったり。



こんなのちょっとくだらないけど、あわよくば圭人にもいい出会いないかなぁ。なんて。



「ちねん何番か聞きに行こう！」



彼の番号は45番。

女の子たちは自分の番号と違うことにひどく落胆していた。



「ちねん俺と回ってくれると思う？」


「約束してないの？」


「恋人だからなんにも言わなくてもわかってくれてたらうれしいかなあみたいな」




相変わらずのめんどくささだったけど、運命を信じる彼はこの企画を真剣に楽しんでいたから、今日のところは何も言わないことにした。



でも、彼はちねんのクラスまでの短い道のりで他クラスの女の子に囲まれてしまって、

「山田くん写真撮ってー！」と、スターのような有様に少し呆れつつ、俺は一人でちねんの教室に向かった。




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ちねんは大きい荷物を一人で運んで、男子生徒に「ちねんくん手伝おうか？」と聞かれても、

「ううん！大丈夫！」と元気に答えていた。




でも、俺を見るとぷい、と顔をそらしてしまって、俺は慌てて名前を呼ぶ。




「な、なに.....けいと、ぼく忙しいんだから」


「朝一で店番いれたの？じゃあ終わったらなんか食べにいこー」


「......ぼくずっと店番いれた」


「は？なんで？」




彼はもじもじとしながら、俯いたり俺を見上げたりして、「だって.... 」と、それからなにも言わない。




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