ep25 ページ25
.
朝のホームルームが始まる直前になって、数人の生徒が楽しそうに喋りながら教室の方に向かってきた。
「あ、知念くんおはよー」
突然注目を浴びた彼はやまちゃんのセーターを引っ張って、背中の後ろに隠れてしまった。
すっぽりと消えてしまった小柄な彼は、消え入りそうな声で「......おはよう」と返事をする。
両手でセーターを引っ張られてもっていかれそうなやまちゃんを見てすこし笑う。
なんだ、ちゃんとやってるじゃん。
「何も隠れなくても」
「......っ、だって、」
しゅんとしてしまった彼の頭を撫でると、くすぐったそうに身をよじった彼が俺たちから少し距離を置いた。
「心配しなくてもちぃちゃんならきっとすぐ友達ができるよ」
「心配なんかしてないよ」
「でも、いつでも圭人たちの教室に遊びにきてくれていいからね」
「.......うん、」
珍しく小さく手を振った彼は、足早に教室へと消えてしまった。
.
新学期一発目から補習にかかったやまちゃんを置いて、二人きりの帰り道。
「ちぃちゃんも一緒のクラスだったら楽しかったのにねえ」
「......けいとと同じクラスになりたかったけど、りょうすけはヤダ」
なんて薄情な。
毎年初詣で「知念と同じクラスになれますように」とお願いしてる彼の気持ちをぶった切るようなセリフ。
「だって、ずっと可愛くいなくちゃいけないんでしょ。授業中居眠りなんかできなくなるよ」
「居眠りしてても可愛いって言うでしょ」
「......でもだめ。ぶさいくな顔しないように気張ってないとだから」
彼も彼なりに、やっぱり恋人の前では可愛くいたいって思ったりするんだな。
「あ、ねえ圭人。今度ね、りょうすけが二人で旅行に行こうって言ってきたんだけどね、」
「旅行?」
「そう、一泊」
なんて下心丸見えなデート。
時折信じられないくらいに大胆な行動に出るマヌケな幼なじみを心配に思った。
でも、かわいいちーたんに危険が潜むのは許し難いので、
「断っときな。危ないから」
「......あぶない?」
「あぶないよ」
ぽやっとして首をかしげた彼は、不思議そうに俺の顔を見つめたあと、「うん、わかった!」といい返事を返してくれた。
ああ、やっぱり可愛い彼を大人にするには俺を倒してからだね、やまちゃん。
(めんどくさいのは実は圭人だったり)
726人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彗桃(プロフ) - 男に絡まれる知念ちゃん、不憫ですが可愛くて涙出てきました(;;)なん様の書くやまちねだいすきです! (2018年1月22日 2時) (レス) id: 89eb2c9c11 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 初めまして!なん様の書くちねんちゃんが可愛すぎて、何度も何度も読み返しております、うふふ。これからも妖精ちねんちゃんと溺愛やまだくんを楽しみにしております! (2017年7月16日 20時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぷよぷよさん» コメントありがとうございます(^^) 宝物って表現かわいいですね、、かわいいやまちね書けるようにがんばります! (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぁぃさん» リアル知念くんの話し方が妖精なんでしかたないですね....コメントありがとうございます! (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ゆーきさん» いえこちらこそいつも読んでくださりありがとうございます( ; ; ) (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なん | 作成日時:2017年1月11日 0時