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心配性な恋人 ep24 ページ24

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新学期。

体育館に張り出されたクラス表に、隣の彼はがっくり肩を落とした。


校内で最もかわいいカップルは、幼稚園の頃から一度も同じクラスになったことがなかった。





「きっと神が怒ってるんだよ」


「なんで怒るの」


「かわいいちーたんを、独り占めしてるからだろうな..... 」





しみじみと想う彼とは正反対のかわいいちーたんは、クラス替えなんかに一喜一憂することなく彼を置いて新クラスに向かった。


しかし、俺もかわいい彼のことは少し心配だった。


コミュニケーション能力の低さは年々ひどくなり、クラス替えすぐの彼はおとなしくちょこんと座る置物のようになってしまう習性があった。


せっかくだから楽しい高校生活を送ってもらいたい。すてきな友達を作れれば尚良し。






そんな過保護な親バカが二人もいるわけで、もちろん俺たちは毎日彼の教室を覗くことになる。






「あー、また一人だ」


「なんなのコイツら。ちねんが可愛すぎてビビってんのか?」


「.......多分そうだね」




毎年恒例。知念のクラス観察。


小学生の頃、彼はこのクラス観察の不可抗力さに耐えきれず、裏で手回しをして知念に友達を作ってあげようとして、

結局バレて一週間口を聞いてもらえなくなった。



だから、窓から覗いていることも、バレてはいけないのだ。




「あ、あのメガネくんとかいいじゃん。知念に悪いこと教えないでしょ」


「誰もそんなこと教えないよ」


「お弁当も一人で食べてるのかな?無理なんだけど可哀想泣きそう」




突然振り返った知念に見られて、やまちゃんは偶然を装い手を振った。

ちょこちょこと走ってきた知念は「なにしにきたの」と無表情で問う。




「え、いや、教科書借りようかなって」


「なんの教科?」


「あ、知念クラスたのしい?」




不自然を極めた唐突な話題に、知念がすこし顔をしかめた。



「別に、普通」


「あー、そう...... なんか困ったことあったらすぐ言うんだよ?」


「ないよ」



ムッとした彼は、ついでに俺のことも睨んだ。

何とかしてよ、と言いたげに。



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彗桃(プロフ) - 男に絡まれる知念ちゃん、不憫ですが可愛くて涙出てきました(;;)なん様の書くやまちねだいすきです! (2018年1月22日 2時) (レス) id: 89eb2c9c11 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 初めまして!なん様の書くちねんちゃんが可愛すぎて、何度も何度も読み返しております、うふふ。これからも妖精ちねんちゃんと溺愛やまだくんを楽しみにしております! (2017年7月16日 20時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぷよぷよさん» コメントありがとうございます(^^) 宝物って表現かわいいですね、、かわいいやまちね書けるようにがんばります! (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ぁぃさん» リアル知念くんの話し方が妖精なんでしかたないですね....コメントありがとうございます! (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - ゆーきさん» いえこちらこそいつも読んでくださりありがとうございます( ; ; ) (2017年7月16日 19時) (レス) id: 8f0c21e9ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なん | 作成日時:2017年1月11日 0時

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