弱者というのは �� ページ18
まずは自動販売機を使わないところからはじめよう。意外とこういうことで、邪吐を倒せるかもしれない。
[やっと見つけたよ、歩霧]
そこに居たのはもちろんだて眼鏡をして厚い本を手にもつ、立綱だった。
今やることはひとつ。俺が時戻りを自覚できることを立綱に伝える。
さらには、山神の使徒である邪吐と戦うことになること。
[ひとつ聞いていいか。山神の使徒のこと]
[なに？ お前はそっち側の人間か]
顔が強ばっていく立綱。白目がうっすらと消えていく。
しくじった。これでは、俺への不審の目が強まるだけだ。
[なわけないだろ。紫苑も巻き込まれる。邪吐という銀色の化け物だ。しかも、逃げることはできないという呪いがある]
立綱は眼鏡に手を添えた。
そして、腕を組む。やはりまずかったか。
[呪い？ そんなものがあるのか]
[そうだ。俺は時戻りして戻ってきた。どうしても助けたいんだ。立綱も、もちろん紫苑も。力を貸してほしい]
[わかった]
レンズ越しに見える明朗な笑顔。
二度目にして信じてもらえたのか。
夕日は傾いているが、まだ視界はある。
今のうちに紫苑と合流し、有利な状態で邪吐の弱点を探す。見つかれば、さすがに負ける。
それでも、光がある今なら可能性はある。
[紫苑と合流したい。立綱、どこにいるのか知ってるだろ？]
[わかった。歩霧、お前を信じてやる。そのかわり邪吐の特性を教えろ。情報なしでなんとかなる化け物ではないだろ]
隠すことでもないしな。
俺は先ほどまで経験してきたことを頭に甦らして繋げていく。
[大の大人のサイズ。銀色で人間風で、顔はない。左右の手を槍の形にして伸ばせるし、速い。石を当てたら、水みたいな音がして消えていった。ダメージはないと見る]
立綱は黙って相づちを打つだけだった。
[こっちだ]という声とともに森の奥へ向かう。
湿った枯れ木の細い枝が積み重なっていて、踏むとぱきりと高い音を奏でる。中までは湿っていなかったあたり、最近雨が降っていないのだろう。推測でしかないが。
[ああ。かか。ささ。たた]
銀色で人間のような形をした化け物。
化け物が進む先には、腰を落として体を小刻みに揺らす金髪の少女、紫苑がいた。
早すぎる。もしかして、一度目はこのあと捕まって首を絞められていたのか。もうこの時間に既に邪吐はいたんだ。
[まじか。歩霧、こいつらか]
[ああ]
立綱は冷静に見えたが、拳を強く握っていた。何もできずに悔しいのだろう。
[ある程度作戦は立てた]
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ゆい(プロフ) - norio117さん» いつでも返信します！評価、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - norio117さん» 凄く引き込まれるようなお話でした。 また、文章とか分かりやすくて、素晴らしかったです、タイトルから話まで興味をそそる内容でしたので読ませていただきます。作品の申請お忙しい中、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - オリジナルです。 (2018年7月18日 18時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
米子(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます。せっかくアイカ様にいただいたものなので、伝説に残るようがんばります (2018年6月27日 18時) (レス) id: fa2781bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海苔男 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.nori118
作成日時：2018年6月17日 22時
