小人(せうじん) ページ7
[私を助けて。お願い歩霧くん]
[嫌だ]
彼女の瞳孔が広がっていく。
自然と、ただそれは上から下へと落ちていく。
違う。決して紫苑に言ったわけじゃないのに。
どうして誤解されるようなことを口にしたんだ。
[どうして。馬鹿、馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿]
紫苑はこれでもかというくらい叫んで、喉を枯らして咳き込んだ。
[ちょっと待てよ]
俺の服から手を離す。服には強く皺が残っていた。
[ごめんね。馬鹿、私の馬鹿王子様]
彼女は立ち上がった。
そして、頭を一度下げて家から出ていった。
俺は呆然と立ち尽くす。
なにしているんだ。追いかけたいのに、足が動かない。
_____怖いのか。
また、裏切りを受けるのが。でも、今頼ってくれた。だったら、追いかけよう。馬鹿な王子様、いやもし俺が愚かな小人だったとしても。
俺は立ち上がると、慌てて飛び出す。
君は俺に出会ったのは初めてだろう。
でも、俺は三回目なんだ。
なのに頼られたのは初めてだ。
外へ出ると宵が来ていて暗い。
早く見つかればいいのだが。
風が冷たくて、足がぎこちない。
体の均衡がうまくとれず、足が伸びなくて倒れてしまった。
膝を擦ってずきりと痛む。
[紫苑！ 紫苑！！ あいつ早すぎるだろ。迷子になるとは思えないし]
"訓読みなら、_________ゆきざくら"
父の言葉を思い出すと、俺は立ち上がって、自分がまるで陸上選手になった気で走れた。
速くないけれど。
結局見つかれずに雪桜の家に着いてしまった。
インターホンを鳴らすと、若干白髪のある男が現れた。
[一之鳥君か。どうかしましたか？]
[すみません。紫苑さんは帰ってきましたか]
[ええ。今は勝手に家を出たことを叱っているところですよ。迷惑かけましたね。では]
と、その男は扉を閉めた。
俺はほっと息をついて家へ戻った。
良かった。
と、自分に言い聞かせる。
家についてから、どうも落ち着かない。
胸の奥がざわついていた。
___そして、翌日が訪れる
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ゆい(プロフ) - norio117さん» いつでも返信します！評価、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - norio117さん» 凄く引き込まれるようなお話でした。 また、文章とか分かりやすくて、素晴らしかったです、タイトルから話まで興味をそそる内容でしたので読ませていただきます。作品の申請お忙しい中、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - オリジナルです。 (2018年7月18日 18時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
米子(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます。せっかくアイカ様にいただいたものなので、伝説に残るようがんばります (2018年6月27日 18時) (レス) id: fa2781bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海苔男 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.nori118
作成日時：2018年6月17日 22時
