邪吐の本気 �� ページ23
モノクロの世界だ。
銀色の化け物が液体となって消えていく。
緑が戻り、青が戻り、色が広がっていく。
これは、邪吐が正体を現す前だ。
[みんな、離れろ！！ 邪吐が来る！]
距離を開けると、やはりひとりの少女が姿を現した。銀色の髪を足元まで伸ばした、幼き少女。
[私こそ、山神の使徒No.6 山縛の邪吐。一之鳥くーん、また戻っていたのかな。どんな終わり方したの？]
[知るか。俺はお前を倒すだけだ、邪吐っ！]
[うんうん。なら、まずは二人を消しておくね。二人で話したい。もう二度と、一之鳥くんに負けないために]
と邪吐は歯を見せて笑っていた。
二度目だと？
[今回は容赦ないよ]
漆黒の翼をふたつ広げると宙で翻り、手のひらから球体の電気のように稲妻が走るエネルギー玉を生成する。
[みんな逃げ、、、]
周りを見渡すと、そこはモノクロの世界。スローモーションのように流れる時間。
美しく散っていく血しぶきの華と、高笑いを続ける邪吐。
[本気を出せばこんなもんだよ。一之鳥くん、少しお話をしよっか]
[ふざけるな！ お前、一体なにがしたいんだ]
ふたりの世界で嘆き叫んだ。
[私の弱点を教える。代わりに、何度目の時戻りか教える。嘘はつかせないから]
その直後、胸がずきりと痛んだ。
手で心臓を捕まれたような痛み。
[ルールは簡単。一之鳥くんと、私が交互に情報交換して、答えられなくなったら負け。私はすべて真実を答える。一之鳥くんは答えないなら殺すし、嘘をついても同じ]
嘘つけ。
どうせ、また時は戻す。俺はこいつに会いに来たんじゃない。紫苑を助けに来たんだ。
[私から一定面積にいる個体を、一定面積から出られなくする。それが、山縛の力]
立綱と考えたことに一致した。
[正体を見たのは二回目だ。お前の名前は回廊で聞いた]
[真実だね。紅い石は見たかな？]
[見た。それも回廊だ。銀色の、身に纏っていたやつはなんだ？]
[スーツのように着ることができる私のエネルギーかな]
こいつ、嘘をつかないのか？ それとも嘘が既に混じっているのか。そして、なにを聞いても邪吐は覚えていられない。つまり、この質問は俺にしか影響はない。なんのために？
[なにを聞きたい]
[私に勝つ自信はある？ こんなにも惨敗して]
[ねぇよ。勝てるわけねえだろ。こんなに惨敗して]
その瞬間、俺は咳き込むように血を吐いて倒れた。意識が朦朧として視界が安定しない。
[なんだ、一之鳥くん。嘘なんだ]
邪吐のその言葉を最後に暗転した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい(プロフ) - norio117さん» いつでも返信します！評価、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - norio117さん» 凄く引き込まれるようなお話でした。 また、文章とか分かりやすくて、素晴らしかったです、タイトルから話まで興味をそそる内容でしたので読ませていただきます。作品の申請お忙しい中、ありがとうございます！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: bf5077db51 (このIDを非表示/違反報告)
norio117(プロフ) - オリジナルです。 (2018年7月18日 18時) (レス) id: bd732d3351 (このIDを非表示/違反報告)
米子(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます。せっかくアイカ様にいただいたものなので、伝説に残るようがんばります (2018年6月27日 18時) (レス) id: fa2781bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海苔男 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.nori118
作成日時：2018年6月17日 22時
