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ep.411 ページ13

Side 清水


全員の顔を見て、私は言った。


清水「スピーカーホンにして。
……私が話す」


Aちゃんの手紙のおかげで、
Aちゃんほどじゃないけれど
上手く泣けていなかった私も泣くことができた。
一頻り泣いて、泣くことができたから、
少しだけ、他の人よりも落ち着けていたと思う。

見渡すと皆んなはまだ感情の整理が
少しもついていなそうだったから、
私が話すべきだと思って、そう言った。

こちらからコンタクトを取った相手は岩泉だったけど、
通話を繋ぐと声が聞こえたのは及川だった。


及川【やっほー飛雄ちゃん。
……岩ちゃんへのメールに詳しくは通話でってあったけど
何の話かな】

清水「……わかっているんでしょう」

及川【あれ、マネージャーちゃん?】

清水「及川たちのところへは
Aちゃんからのメッセージ、
届かなかった?」

及川【Aちゃんって、
どうしてライバル校の俺たちに?】


わかっているだろうに、
しらばっくれるように言う及川に、
少しだけ苛立った。


清水「覚えてないの。
私は夏に青城まで、
Aちゃんを迎えに行ってるのだけど」

及川【……そうだったね。
いいよ、話してあげる。
飛雄ちゃんやキャプテンくんが聞きたいことも、
わかってるつもりだよ】


お守りの中身の話だよね、と及川は続けた。

・・・・・・・・・・
Side 及川


Aちゃんの死を俺たちが知ったのは、
いつものように月曜日、病院に出向いたその時だった。


国見「そ、んな……」

金田一「嘘だろ……」


受付の看護師は「残念ながら」と言うと頭を下げ、
2日前の11月3日が、「その日」だと告げた。
その顔もとても辛そうに見えたから、
俺も岩ちゃんも、唇を噛み締めることしかできなかった。


及川「……行くよ。金田一、国見ちゃん。
すみません、ありがとうございました」


俺が辛うじてそう声を押し出して、
俺たちは病院を後にする。
外に出て、自動ドアが閉まった瞬間に
「A……」と呟いたのは、
意外と言っていいのか、国見ちゃんだった。
ぽろぽろと涙を溢して俯く国見ちゃんは、
いつもよりずっと、小さく見えた。
それを見て漸く思考が追いついてくる。


そうか、これは悲しいことなのか、と。


俺たちは4人がその場に崩れ落ちるまで、
そう長くはかからなかった。

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中村茜雫(プロフ) - しおさばさん» しおさば様 コメントありがとうございます!嬉しい報告に感激です。数年前のものなので拙さも目立ちますが自分でも気に入っている作品なので、ぜひ、何度も読んでいただけたらうれしいです。 (2月18日 3時) (レス) id: 55aa952afa (このIDを非表示/違反報告)
しおさば(プロフ) - 初めてこのアプリの作品で泣きました、、、何回でも読みたい、、素敵な作品を書いてくださってありがとうございます。 (2月13日 20時) (レス) @page37 id: e2a581894c (このIDを非表示/違反報告)
中村茜雫(プロフ) - たゆたゆさん» たゆたゆさま 本当に嬉しいです!!素敵なお言葉ありがとうございます!ペースは落ちていますがこれからも少しずつ作品作っていきたいと思っていますので、よければ他作品を作った際にも覗いていただけると嬉しいです☺︎ (2022年4月11日 23時) (レス) id: 55aa952afa (このIDを非表示/違反報告)
たゆたゆ - 夢小説でこんなに感動したのは初めてです…と言うか色んな感動物の小説読んできたけど初めて泣いてビックリしております。完結してから時間が経っているかと想いますが、書かせて頂きました。これからも気張って下さい! (2022年4月11日 2時) (レス) @page37 id: 659470c72b (このIDを非表示/違反報告)
中村茜雫(プロフ) - ぽむさん» ぽむ様 気付くのが遅くなり申し訳ありません。コメントとっても嬉しいです!最近なかなか忙しく、次作も進んでおりませんが、長く時間をかけても完成させるつもりはありますので、また完成後にでも覗いていただけたら嬉しいです。作者作品共々よろしくお願い致します! (2022年2月27日 3時) (レス) id: 55aa952afa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:中村茜雫 | 作成日時:2020年4月12日 21時

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