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▼SAE
答えてくれるかは、どうだろう。でも……たかみななら、きっと聞かないふりはしないかな。どちらでもいい。それは、投げやりの意味じゃなくて。
私は成り行きでAのことを知ってしまった。だからといって『これからは私も良き相談相手に』とはならないだろう。歳だってひとつしか変わらないし。むしろ精神年齢的には彼女の方が上な気がする。
「一応言っときますけど違いますよ？ ……実は昨日、優子さんにとんでもない課題出されちゃって。なのに恵さんもなんか言い出すし。頭が全然休まらないなぁって」
「優子さん？ やっぱりライブの後に何か言われたり……」
「その件は別に。優子さんも体調不良に気づいてたということでお咎めはありませんでした」
ならば、一体何に。Aが「走りながらでもいいですか？」と言うので、私たちはやっとランニングを開始。その『とんでもない課題』とは、夢。
研究生の当面の目標は襲名することだ。00になることを夢に、大抵はオーディションを受ける。私もそうだった。
「そのとき、何も答えられなくて。……で、一人になった後に思い出したんです」
「思い出す？」
「寮に来た日の夜。歴代センターノヴァの写真が飾られた場所で、優子さんが言ってたこと」
Aは言った。優子さんは、自分がセンターノヴァを復活させると宣言したらしい。今の立ち位置に満足をしていない。上へ上へ、もっと先へ。常に向上心を持っている。それがとてもキラキラして見えたって。
襲名メンバーになっても終わりじゃない。ていうか、ここからが始まり。憧れの00になってから何を成すのかが大切。私は10代目さえを襲名して夢を叶えている最中だ。
気づかせてくれたのは優子さん。でも夢自体はAが自分で見つけないと駄目だ。……それは私が言わなくても分かってるんだろうなあ。
「ま、寄り道しながら考えます。そして、目標をくれた優子さんのために答えは出しますよ」
「頑張れ、A」
「ありがとうございます。夢が見つかったときは佐江さんにも教えますね」
前方には才加たち三人が見える。あの子のペースに慣れてないメグと彼方さんは、原っぱに腰を下ろしていた。
追いつくと目線が一瞬こちらを向く。Aはそのままメグの前へ。見下ろされていた彼女は立ち上がった。その目は鋭い。
「恵さんが勝つ日なんて来ません。私は強敵ですから」
「……っ、本当。むかつく後輩！」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
