154# 悩む暇もなし ページ4
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あの後、遅れてレッスンルームに戻ったら彼方さんにはちょこっと叱られた。うん、しょうがない。
それより気になったのは……
『少し前に恵が来たけど……あんたたち何かあったの？』
『というと？』
『恵にAのこと訊いたら、むすっと不満そうに「あんな子知りません」なんて言うの。絶対何かあったでしょ』
『ん〜、喧嘩ではない……か。でもちょっと白熱しました』
彼方さんは「えー……」って。さっきのトイレ行かないくだりとまったく同じ顔をしていた。研究生のキャプテン、そして芸能禁止の星でのライブ前。そんなことしてる場合じゃないよ、なんて言われる。
大丈夫ですって。ライブでは気持ち切り替えるんで。恵さんもそれはわかっていると思いますよ。
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練習をしたらお腹が空いた。時計を見たら食事の時間帯になっていたから、私たちは空腹を満たしに食堂へ。襲名メンバーもちょうど腹ごしらえに集まっていた。
凪沙はシチュー、智恵理はハンバーグ。二人はパンも一緒に取ってきたらしい。そして凪沙の右隣に座った楚方は早くもデミグラスソースのかかったオムライスを食べ始めている。
「うわっ、すご！ 織音ダイエットしてなかった？」
「ふふ。ハードなレッスンのおかげでちょっと落ちたから、やめちゃった」
「うおー、盛ってるねぇ！？」
凪沙の正面・智恵理の右側にトレイを置いた織音。彼女は大盛りのナポリタンをチョイスした。続いてやってきた真琴はその量を見て思わず驚く。そんな彼女はカレーライスの気分らしい。
そんな賑やかなさまは、別の席で一人で黙々と食べ進める恵さんとはまるで対称的。
襲名メンバーがいる方には佐江さんもいる。佐江さんは先程から箸が止まっていた。偶然にも恵さんの姿が見える位置。なんだか難しい顔をしている。
「みんな、ちょっといい？ 現地に先に入っているWOTAのメンバーと連絡が取れたわ」
ツバサさん？ 目標宙域に入ってからミーティングか、星に到着してから最終確認って聞いていたけど。何かあったんだろうか。
全員が食事の手を止めて、体ごとツバサさんを向いた。
「彼らの報告によれば、DES軍は近隣惑星からの援軍を要請しているらしいわ。D.G.T.Oはこのライブをきっかけに00メンバーの完全捕獲を目論んでいると考えられる」
「そんな……！」
「それに対応するには戦闘メンバーもLASも足りない。あなたたちの安全の為にもライブは中止……」
「やりましょう！」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
