166 :♪ヘビーローテーション ページ16
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更に歩いていると広場のようなところに出た。
中心には天に伸びるようにストーブが設置されている。灰色の街にぼうっと灯火が浮かんでいた。その周りに集まって暖を取る人たち、そして……長い行列も。
どこに繋がっているんだろう。人が群がっているところもある。そこには組立式の白いテントが。なんだか良い香りもする。鈴子が「配給……？」と言うと、智恵理も「あそこでパンを配っているみたい」と言った。
「そなたももらってこよ〜！」
「だめですよソナティ。配給は、本当に必要としている人たちのものです」
「そっか」
「しかし……ここの人たちって、不幸オーラ半端ないっすね」
駆け出した楚方は鈴子がつかまえた。それにしても……。真琴の言う通り、みんな元気がない。子どももニコリともせず、口を結んでいる。
過酷な気候故の貧困。絵に描いたような発展途上星。心まで凍えているみたい。これが、完全芸能禁止の星の人たち……。
私たちは、もう一度裏路地に姿を隠す。あまりの光景にみんな沈黙していた。それを破ったのは智恵理。隣にいた凪砂はいち早く反応する。
「この星でライブをするのって……どうなんだろう」
「え……」
「ライブが終われば、また芸能を禁止されてしまうのに。夢を見させて……また取り上げちゃうようなこと」
確かにそうだ、と真琴は諭されるように智恵理へ共感を示す。織音も友歌も、他のみんなも。口にはせずとも全員が心のどこかで思っていたこと。
でも、それでも。00のライブを観てほしい。たとえ一時的な幸福だとしても。だって、私たちは、………ん？
音楽が聞こえてきた。この曲、ヘビロテ？ 私たちは聴こえて来る方へ引き寄せられるように足早で向かう。
建物の後ろは空き地になっていた。音の根源は大きなかまくらの中から。小さな女の子が四人。過去のライブ映像に釘付けだ。少しずつ接近する私たちにはまだ気づかない。
「……あの子たち、」
「「っ！？ 〜〜〜！」」
「あっ、えと。私たち怪しい者じゃあ……」
思わず声がもれる友歌。子どもたちは『見つかった』と思い、パニックになっているみたい。とても怖がる様子でお互いに身を抱き寄せて震えている。
バチりと目が合ったのか、友歌はそのまま弁解しようとする。でも、一人の女の子がこちらを振り返った。
その顔には驚きは驚きでも、恐怖とは違うものが含まれていたように見える。強いて言うなら『信じられない』というような。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
