ラピスラズリ④【0048】 (ページ11)

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▼Chieri

アンダーを導入した初めての劇場公演。それに参加した唯一の同期であるAとは、必然的に話す時間が増えた。

彼女は襲名メンバーにも向かって行くし、00でも数少ないSNS発信者。なのに77期でいるときは自分から何かすることはない。受け身、みたいな。

以前ムラがあるのはどうしてか訊いたら、

『怖いのかも』

『怖い？』

『うん。私、付き合い悪かったから友達が片手もいなくて。けれど、今思えば友達でもなかったかも』

『どういうこと？』

『その子たちも私と同じ。集団に馴染めないみたいで。余り物の寄せ集め。中学生くらいだと一人でいると目立つでしょ？そういう目で見られるのが嫌だったんだと思う』

Aは部活の先輩や、違うクラスで同じ委員の子など。一緒の時間が短い方が適度な距離が保てると言っていた。だから、同期で寝食も共にする私たちの前でもし余計なことしたらいつか弾かれそうで怖い。

仲良しこよしをしに、00に入ったわけじゃない。そう言う彼女の横顔はちょっと寂しそう。

『でもこの前楚方に、』

『あーアレね。なんか暴走してたよね私』

あのときはちょっとピリピリしててさ、言っちゃいけないことの区別も付かなかった。でも美森さんが励ましてくれたし、智恵理たちも変わらずに接してくれたからよかった。

そこまで聞いたところで休憩時間が終わる。もうちょっとあったら、もっと話せたのかな、なんて。Aはその日のレッスン後の帰り道も寮についてからも、翌日以降から今までも話の続きはしてくれない。

いつもの彼女。才加さんのアンダーとして、役割を果たそうとするAしかいなかった。

だから今回はどうしても理解できない。いつチャンスが来るか分からないライブより戦闘を選んだAが。

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■余談
恵に嫌われる予定は当初は無かったです。頑張る→変化→襲名と仕事→すごいというように、プラスを書いたから次マイナスにしようとぼんやり思っていたらいつの間にかこんなにバチバチする展開に……。

休養日を書いた時点でも全然考えていませんでしたよｱﾊﾊ。こじはるが佐江の名前を出したのもそこまで意味は無し。どこかで何かに使えたらいいな、ぐらい。

でもまあ個人的には『頭ひとつとび出て羨望の眼差しを浴びる』より、衝突や失敗による心の成長があった方が面白いし感情移入できると思っています。元々Aさんが00に入った理由もシリアスですし。