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握手会には行ったことないし、研究生になる以前に秋葉星に来たこともない。00と会話をしたのは全て家を出てからだ。
私が勝手に好きになり、勝手に応援していた。想いは繋がっていたのかもしれないけれど、それはファンという大きな塊に過ぎない。
みぃちゃんは卒業公演をしなかった。そうすると口にしただけで、いなくなってしまったんだ。何年もアイドルで、センターで。なのにだ。
中には、卒業の理由を言いたくない人もいる。彼女はその側だったのかもしれない、と薄々感じていた。
「だから……ファンです、と言ったところで。逆に困らせるんじゃないかって」
「……一理、あるかもです。わたしも00を悲しませたくはないですから」
いいんだ。元気なら。今はステージから降りた彼女に、本当にそう思っている。
どういう経緯で今回の仕事……00と関わることになったのか、それはまだ分からないけれど。こういう形でも、みぃちゃんに会えたから。無事を確認できたから。私にとっては全然プラスなんだ。
しばらくして研究生、最後には77期が撮影する番が来た。凪沙たち四人の次に私。そして鈴子、楚方となり、今は真琴の番だ。
今期は13歳からの年齢制限ギリギリのメンバー以外にも、イレギュラーで合格した楚方がいる。平均年齢が00史上最も若い研究生としても、知られていた。
「いいねいいね〜。フレッシュフレッシュ、スーパーフレッシュ！！
「はーいっ！」
バナナボートに跨って頬を染める。柔らかな笑みを浮かべた鈴子をパチリ。チェリーピンクのビキニに、小道具として水色の浮き輪。ウインクをキメた楚方をパチリ。
真琴は寝転べるほど大きなボートに乗っての撮影。四つん這いのように前かがみになり、縁に肘をついて胸元を強調させる。右手でピースをしたところでシャッターが切られた。
と、隣にいたはずの楚方が乱入。彼女は日除けの傘を放り出して真琴に駆け寄り抱きつく。そして、真琴のトップに手を突っ込んだかと思うと、中に詰めていたパッドを「偽乳は成敗なりぃ〜！」と海へ投げ捨てた。
「わっ、わたしの生命線〜……！」
「えい」
先程までとても楽しそうだった真琴。しかし水着と同じように顔を青くする。首に巻き付く楚方の腕をどうにか避けて、水の中へ手を突っ込みパッドを回収。また胸元に戻した。
……男性スタッフもいるのによく出来るな。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
