ラピスラズリ④【0048】 (ページ37)

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187# 慣れたシャッター音ページ37

▼Chieri

撮影のお仕事を知らされた後。私は使えそうなポーズはないか、予習を始めた。PV以外では初めての撮影である。アンダー制の導入や、つい先日の完全芸能禁止の星でのライブ。そういうことの積み重ねで、研究生ながらも知名度が高まっているということだろうか。

ツバサさんが言うには、今回の撮影されたものはブロマイドなりカードなりのグッズとしても販売するらしい。

そりゃメインは襲名メンバーだろうけど、今回は全メンバー。私たちが蔑ろにされるわけでもない。研究生を求めてくれる人たちがいる。この報せはそれを示唆していた。

『 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯ え？ポージング教えてくれって？』

『うん。Aは撮影のお仕事始めてだいぶ経つし、そういうの詳しいかなと思って』

『……まあ、研究生の中だったらそうなるか？分かった、いいよ。それだけ智恵理がお仕事に真剣に向き合っているってことだもんね』

それからはダンスレッスンの移動時間だったり、夜の寮のレッスン室なり。長めに手持ち無沙汰な時間があったら話を聞いた。

当日の水着にもよるけど魅せ方が大事。撮影日はすぐだから、とりあえず今回は個々人の衣装の良さが伝わるポーズと表情の研究をしようって。

それ以外にもビキニだからね、と。ヨーグルトなど便通のいいものを食べてウエストを締めよう。前日は気持ち少なめの夕食がいい、その代わり朝はちゃんと食べる。

その夜はむくみ防止のマッサージと、これが一番大事・お肌のチェック。ポージング以外にも、襲名メンバーから聞いたことを彼方さんと一緒にみんなに広めていたっけ。

『なんか智恵理、変わったよね』

『え？』

『凍原星から帰ってから、良い感じに肩の力が抜けて表情が柔らかくなった気がする。秋葉星以外のお客さんの前で歌って、自分の中に変化でもあった？』

二人になったとき、Aがそんなことを口にする。真琴にも、似たようなことを言われた。そのときは美森さんも、雰囲気が温和になったと同意していた。

変化……。それを言葉にするのはちょっと難しい。でも。凍原星で凪沙たちと一緒に四人で歌ってから、少しだけ。景色が違って見える。

小さな町の、灰色の空の下で生まれた夢。私は……凪沙に友歌、織音の四人で00になりたい。そして幼い頃に出会った大きな夢を小さな小さな一歩でも叶えていたんだ。

『よかったね』

『うん』

Aの和やかな顔に「おやすみ」を告げて、昨日は眠りについた。

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